コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「輪地焼き体験レポート」

コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「輪地焼き体験レポート」です。

千年の昔から先祖代々守られてきた大草原。
春から秋は牛や馬の放牧場として使用されている草原ですが、これからの季節は牧野ライドにもってこいの草原です。
野焼きをする際に延焼を止めるため草を刈り取った「輪地切り」の後が牧野ライドのコースとなります。
輪地焼も済み、冬の牧野ライドシーズンを思いっきり楽しめそうですね☆彡

毎年 2月から3月にかけて牧草を得るため、阿蘇の草原(以下牧野)を焼く野焼きに備えて、森林や建物などに燃え広がらないよう草を帯状に刈り込んで防火帯を作る「輪地切り」体験を、町古閑牧野組合の協力のもと道の駅阿蘇により10月19日に開催されたので参加してきた。

「輪地切り」は、夏の終わりから秋にかけて幅8〜10mほど草を刈る作業と、刈った草が乾いたところで燃やす「輪地焼き」作業がある。なぜこの時期かと言うと、まだ牧野の草は水分があるため燃え移らないからだそうだ。しかし、安全のために軽トラックに水のタンクを乗せて動力で放水できるように備えたり、牧野に火を付ける人の横には、20リットルの水を入れた袋を背負って放水するジェットシューターや、火を叩いて消火する火消し棒を持つ人など牧野組合員総出で行われる。

輪地切りの装備を積んだ軽トラック

ジェットシューターの使い方を丁寧に教えられる町古閑牧野組合市原啓吉組合長

このようにして放水する。動力のホースが届かない所や、険しいところでもジェットシューターを背負った人が行くことが出来れば、大きな火になる前なら消すことができる。そのため常に風向きや火の勢いなど全体を見渡すことが大切であると言われていた。

火消し棒

叩いて消す原始的なやり方だが、この環境での使いやすいと効果は、野焼きの千年の歴史を物語る。

炎は熱風を起こして一瞬で燃え広がる。その勢いに熱くて思わず後ずさりする。

煙も強烈で目に沁みて、熱風で吹き付けられる煤が目や口や耳、鼻に入り込む。

ここに来たときは、今年初めて白い息が出て、耳が冷たくなるほどの寒さだったが、牧野に火が入れられるとすぐに身体全体が火照ったように熱くなった。

牧野道沿いの輪地焼きから山の斜面に場所を移す。

どこから火を入れるかが肝心だ。風向きを確認して火を付け、その近くにはジェットシューターと火消し棒の人たちがセットになる。火を入れる人は経験豊富な方に限られる。

斜面は牧野道に比べると一瞬で燃え広がる。

輪地切りの長さは阿蘇全体で約530kmにも及び、四つん這いでないと転げてしまいそうな山の急斜面にも延々とあり、そこを草刈機で刈っていくのは危険がともなう大変な作業だ。牧野組合員は、従事者の減少や高齢化で少なくなっているため、野焼きを行うためにはボランティアによる人手がないと実施することができなくなっている。

これでやっと防火帯になる輪地切りができた。

そして、いよいよ翌年の野焼きとなるが、万全を期していても火が飛び、森林を燃やすこともあり、その代償は牧野組合が行わなければならない。また、怪我人や時には火に巻かれて亡くなる方もあることから、リスクの多い野焼きは実施されない牧野も多くなり、草原の減少につながっている。そのようなことから農業資源である牧野を守る取り組みが進められ、道の駅阿蘇では牧野でのトレッキングやマウンテンバイクにより観光資源として有効活用して、参加費の中から牧野を維持する牧野保全料を徴収する事業を2018年12月から商品化している。今回は野焼きの理解を深めるための取り組みのひとつとして輪地切りの体験が行われた。これは牧野に火を入れるため、開催日は天候に左右され募集するには難しいところがあるが、草原も守るためにどんなことが出来るのか、時代に合わせた選択肢のひとつとして今後とも継続して開催されることが大切なことだと思う。

輪地切り体験のあと市原組合長の許可を得て、本来12月から利用することができる町古閑牧野での牧野ライドを参加された方に特別に試走してもらった。

7か月振りに走るこの牧野はダイナミックで素晴らしく、E-MTBの快適さもあり参加者と一緒に歓声を上げるほど楽しいものだった。

草原には牛や馬を50頭ほど集めてあるところもあった。

滅多に見れるものではなく更にテンションが上がって盛り上がった。

この上の高台から眺めてみよう。

野焼きは千年前から行われており当時から牧野では牛や馬を放牧していた。その時の風景がこのような景観だったのではないかと思うと感慨深い。

牧野ライドは草原以外にも輪地切りも走るフィールドだ。ここは放牧されているところの近くなのでまだ火は入れていない。12月に牛や馬を下の牧野に移動して燃やされるだろう。

輪地切りと牧野ライドの試走体験終了。

私を含めて参加者は、火入れの驚きと怖さ、それに牧野組合の苦悩を身をもって知った。野焼きは大掛かりな農作業であり、延焼や人の事故のリスクも伴うため草原は減少し続けている。千年の歴史ある阿蘇の風物詩を維持していくことは、このような壁を乗り越えなければならない。ひとりひとりできる草原の維持活動に参加してもらうことが大切なことだと思う。

 

 

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