やまなみハイウェイ沿いにあるお稲荷さん「三閑稲荷神社」~住民の手で成し遂げた熊本地震からの復旧~

 阿蘇市役所から県道11号線(やまなみハイウェイ)を車で5分およそ3.5㎞大分方面へ進むと道沿いに大きな赤い鳥居が見えてきます。ここが三閑稲荷神社の入り口です。
 神社は、五穀豊穣や商売繁盛などにご利益があるとされ、古城4区(三閑地区)の氏神として現在約30戸で大切に守られています。

やまなみハイウェイ沿いに建つ鳥居

鳥居をくぐると湧水が湧き出ている様子がすぐに目に入ります。

車でお越しの場合は、写真右側の道を上ると駐車場があります。

駐車場横の鳥居をくぐり、参道を進むと拝殿に到着します。

三閑稲荷神社拝殿

神社の代表者である渡邉金久さん(右)と岩下清人さん(左)

 神社の話をする際、忘れてはならないのが、平成28年4月に発生した熊本地震からの復旧作業について。ここ三閑稲荷神社も地震で甚大な被害を受けてしまった場所の一つです。
 三閑稲荷神社の取り組みや地震直後から復旧までの様子を、復旧作業の中心となって活躍された渡邉金久さん、白石勲さん、志賀宗幸さん、岩下清人さんの4名にお話を伺いました。

左から岩下清人さん、白石勲さん、志賀宗幸さん、渡邉金久さん

 明治から昭和にかけて参拝者が非常に多く、昭和40年代までは、例大祭で波野地区の人々による神楽の奉納や地元青年団による芝居のほか、地域内外から若者が集って行う奉納相撲なども行っていました。
 現在は、祭り開催の他、神社を継承していくための活動として、年3回の草刈りや年末の掃除、正月飾り(大しめ縄)の準備など、年間を通して様々な取り組みを住民総出で行っています。

 そのような中、平成28年4月に発生した熊本地震では、境内全域に甚大な被害を受けました。
 石で作られた神殿は倒壊、拝殿は横ずれが発生して床下が激しく損傷、石垣も大部分が崩落しました。また拝殿横にあるおこもり所(小屋)は建物が傾いて山の斜面から落ちる寸前で、確認した当初は目を塞ぎたくなるほどの有様に住民皆がショックを受けました。
 しかし、地震直後は地区内にも様々な被害が出ており、神社の復旧に向けてすぐさま取り組むというわけにはいきませんでした。
 平成28年12月の末、「翌年の初詣にせめて神殿だけでも復旧ができたら」という住民の想いが強くなり、まずは神殿の復旧について検討することになりました。自力で復旧しようにも、神社入り口から神殿までの通路は狭く、また傾斜地でもあり重機が使用できないのが難点でした。その時、地区内にある白石石材店が工事を引き受けてくださいました。
 その後、平成28年12月8日に工事に着手し、神殿の基礎と破損石組みを修復、3m下の岩場に落下した屋根の引き上げは作業を困難にしましたが、3日後の12月11日には住民総出の立ち会いの元、復旧した神殿の姿を見ることができました。
 翌年3月10日、寄合で拝殿、石垣、小屋の復旧について協議を行いました。神殿同様、重機を入れることが難しく、人力での作業となるため、難航することが予想されましたが自分たちの力で復旧させたいという想いが強く、業者に頼ることはせずに進めることとしました。
 早速3月13日より作業を開始し、男性は復旧作業、女性は炊き出しを担当しました。また、安全かつ円滑に作業が進むように現場ごとに4つの担当班を作りました。資材運搬は白石石材店さん、拝殿は篠田さん、石垣は渡邉さん、小屋は志賀さんがそれぞれまとめ役となって作業を進めました。

神殿復旧の様子

石垣復旧の様子

拝殿復旧の様子

 一番大変だったのは斜面から転落しかけた小屋、この引き上げと修繕です。重機が入らない中、どのように引き上げようかと皆困惑していましたが、小屋の復旧の責任者である志賀さんのアイデアで、ワイヤーを2本使用し、周辺の樹木を利用しながら引き上げることにしました。

 作業途中、太いワイヤーだったにもかかわらず1本切れてしまうというトラブルもありましたが、みんなで協力して作業に当たった結果、無事引き上げることに成功しました。誰一人としてケガがなかったことにもほっとしました。


 小屋は引き上げても雨漏りがひどく、その後4日間かけて内装を電気配線含め修繕しました。これらも自分たちの力で行ったのですが、予想以上によい出来栄えとなり喜んでいます。


 延べ7日間ほどかかりましたが、これを支えてくれたのが地区の女性が毎日準備してくれた炊き出しでした。出されたのはこの地区に伝わるにわとり飯で、鶏肉とごぼう、ニンジンなどが使われています。またこれに添えられる漬物も昔から祭りで慣れ親しんでいる味で、復旧作業の最中ではありましたが、住民みんなで味わう楽しさもありました。
 このようにして復旧作業は平成29年3月26日に完了し、皆で喜び合いました。
 神社は地区のみんなが集まる場。地区の発展は皆が寄って力を合わせないとできません。高齢化が進んでいますが、今後も多くの方に神社に来ていただけるよう知恵を出し合っていきたいと考えています。

 現地を訪れよみがえった境内を眺めていると、復旧作業のすべてを地域のみなさんが行われたということに驚きを隠せません。

境内奥にある神殿

石垣も見事修復!

拝殿内の様子

 境内には、社殿の他に岩場が2つあり、ここにもお稲荷様が祀られています。神聖さが漂う空間は美しく管理されており、みなさんで大切にされている様子が伝わってきました。

 

■三閑稲荷神社

 

この他、三閑地区には珍しい「石神社」もあります。
石神社については写真をクリック⇩

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