下駄にはまった石がカミサマ・石神社~地域の神を守り伝える(阿蘇市一の宮町三野)~

阿蘇市役所から県道11号線(やまなみハイウェイ)を車で5分、約3.7㎞大分方面に向かうと道路沿いの林の中にお社があります。


 このお社は「石神社(いしじんじゃ)」とよばれ、阿蘇市一の宮町三野にある三閑地区人々で大切に守っています。

 神社の由来などよく分かっていないことが多く、手がかりになるのは、旧一の宮町の教育委員会が発行した『文化財一の宮』の中にある記述です。
「大字三野字三閑の外輪山中腹に石神社がある。むかし、国造神社の神官をしていた黒田風雅という者、宮地からの帰り道に下駄にはまった小石が「俺を阿蘇神社と同じ高さの村の山に祭れ。村は豊かで安全になるぞよ。」と、そこでその小石を祭ったのが、この石神社で約1メートル余りの板碑が祭神である。」(一の宮町教育委員会,1985,p121)

 1964(昭和39)年に開通したやまなみハイウェイの建設工事のため、もとあった場所から移動して現在の場所に祀ったそうです。

 神社について、石神社の氏子代表である白石 勲(しらいし いさお)さんにお話を伺いました。
「三閑地区は上(かみ)組・中(なか)組・下(しも)組の3つの隣保班(小組織)に分かれます。石神社は中組の8軒で祀っています。旧暦の8月8日が祭日で、この日は氏子が集まって飲食する「オコモリ」を行います。」

 白石さんが経営しておられる骨董品のお店の先に神社まで続く小路があります。


 神社の中に入ると、史料に書いてある通り1m余りの石のご神体が祀られていました。
 また、ご神体周辺には小石が敷き詰められています。

 平成28年4月に発生した熊本地震では、社殿近くが崩落してしまったそうで、氏子のみなさんがセメントで固めるなどの修繕を行ったそうです。

 白石さんの足元を見るとセメントで白く固められていることがわかります。

神社からみる景色も

神社周辺から見る景色もステキです。

白石さんは、
「私たちはこの神社のことを「石大明神さん」とよんで親しんでいます。下駄にはまった石の割には大きいですが…。言い伝えとの差異も含め神社の詳細は分からないことが多々あります。しかし、だからこそ感じる興味深さもあります。お祭りは年に1回だけですが、みんなで集まって行事を行うことには意味があると思います。地域の絆の維持にもつながります。やはり神社は私たちの拠り所の一つです。」
と笑顔で話してくださいました。

 全国的に地域の祭りや行事が簡素化する傾向にありますが、地域の絆がいつまでも繋がっていくことを切に願っています。

 

■石神社
※駐車場はありませんので、交通規則を守ってご参拝ください。

 

 

この他、三閑地区には熊本地震から見事復旧を成し遂げた「三閑稲荷神社」もあります。
「三閑稲荷神社」については⇩の写真をクリック。

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