阿蘇の大草原とあか牛、そして絶滅危惧種の共生と調和

こんにちは!新年あけましておめでとうございます。今年初のバッテン荒和です。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

突然ですが阿蘇の草原は、実は自然に草原になっているわけではなく、1,000年以上前から人が草を刈り、毎年野焼きをし、そして牛が草を食べて保たれてきたのですが、けれども今では農家を生業にされる方々が減少しており、また野焼きの危険性や手間もかかるため、草原維持に従事する人もまた減り、すると当然その広大な面積も減ってきているらしいのです。

このまま仮に何も対策をしないと、現在約2万2,000ヘクタールある今の草原は将来的には約30年で60%も失われ、わずか40%の0.9万haにまで減ってしまうと予想されています。草原を放っておけばやがて雑木林になってしまい1,000年もの間、慣れ親しんだ阿蘇の風景はこのままでは激変してしまいます。

実際、阿蘇の草原には年間約2,500mm以上(全国平均の2倍近く)の雨が降り注ぎ、草原に蓄えられた水が九州中・北部の6本もの一級河川の水源となっているため、この大きな水がめともいえる草原が無くなってしまえば、九州全体の生態系は勿論のこと、私たちの日常まで一変してしまい、ひいては自然環境を破壊してしまうのです。

さらに阿蘇の土壌には野焼きを繰り返してきたため大量の炭が土壌に蓄積されたことで実際、阿蘇一体の広大な草原が年間で吸収してくれている二酸化炭素量は16,400t〜49,200tにも及び、全世界で急速に進む脱炭素化の流れにおいて、とても重要な役割を果たしているらしいのです。

 ところで、その阿蘇の大草原を維持している高い貢献度の一翼を担っている‘あか牛‘の役割を中心に見ることにしましょう。

 まず阿蘇の草原が文献に登場するのが平安時代の「延喜式」(古代の法典)に『阿蘇には軍馬の牧養地があり、優れた馬は都や大宰府に献上するように』と書かれてあり、当時より阿蘇の牧場や阿蘇の存在自体が中央政権にまで知られていたそうです。〈出処;阿蘇まるごと公式テキストブック〉

そのころより、阿蘇火口原と外輪山を中心には褐毛(アカゲ)牛が飼われていたのですが農耕運搬の使役に適しては強健ではありましたが、体型は小型で何といっても成長が遅いことが弱点となり、1906(明治39)年から、より大型で肉質に優れ成熟の早い牛の改良が始まって今の阿蘇の‘あか牛‘に改良されたそうです↓

 この‘あか牛‘は、大手百貨店から大量の受注が定期的に舞い込むほどの人気ぶりで、良質なブランドとして大変定評があるそうです。そのきっかけが放牧の‘あか牛‘が自然の泉の水を飲んでいるのを見た百貨店のバイヤーが思わず、こうツブヤイタそうです。

「清水を飲んで無農薬の草を食べて育っている。全くの健康優良児だ」と驚いたことが始まりとされています。また肉質の特徴として、’あか牛‘は阿蘇の大草原を自由に歩き回り自然の牧草を食べて伸び伸びと育ちます。そのため、無駄な脂肪分が少なく、和牛本来の自然の風味豊かで、赤身には鮮やかな赤色と光沢があり、牧草などの粗飼料を豊富に食べた証であるやや黄色がかった脂肪など、自然育ちそのままの肉質であり、私のような大食家でさえ、沢山食べても胃にもたれず、さっぱりとした後味が人気の秘密だそうです。

 *そして本日、私が一番強調したかったことですが、阿蘇の‘あか牛‘と’絶滅危惧種のチョウ‘、そして’大草原‘の秩序が守られるという三位一体の大自然の法則⁈について言及させて下さい。

  • ‘あか牛‘肉の消費拡大が進むことで、放牧用の’あか牛‘の生産者意欲が増大し、ひいては’あか牛‘の数がさらに増え、阿蘇の草原を守ることになります。
  • ‘あか牛‘がおいしそうに牧草を食べていますが、不思議なことに、ある花は食べられずに残っているというのです。

その花こそ、クララという花ですが毒性があり、‘あか牛‘はそのことを知っていて食べないのですが、実はこのクララは絶滅危惧種としてレッドデータブックに掲載されているチョウの一種オオルリシジミの幼虫が好む花であります。

つまり、‘あか牛‘がこのクララの花を食べないので、クララの絶対数を保つことになり、くわえて絶滅寸前の貴重なオオルリシジミの幼虫が食べる唯一の植物であり、この絶滅危惧種のチョウが比較的容易に阿蘇で多く見うけられるのはそのためであるそうです。

野の花、動物、そして人間の努力それぞれが相互に共存し合い、阿蘇の大自然の中で密接な関係を保っていることこそが、ここ阿蘇の一番の魅力ではないのでしょうか‼

 

⁂最後に私共はこの自然の恵み豊かで、神様のえこひいきで頂いたような阿蘇の大地を最低限維持していかなければならず、そのために現在、年間2,000人を超えるボランティアの方々が野焼きなどの草原保全活動を手伝ってくれていますが、まだまだ足らないそうです。さらに人だけでなく、上述のように‘あか牛‘の力も借りなければ、とはいえ、‘あか牛‘が国内で食べられている和牛のうち、その消費量は、わずかに全体の約0.36%だと言われており、’あか牛‘自体の流通量も必然的に少なく、残念ながら全国どこでも好きな時に美味しいこの’あか牛‘を食べられないのが残念でなりません。

ならば今はまだ実際に熊本に赴き食べに行くしかない⁉のでは❣

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