阿蘇カルデラの内外をつなぐ滝室坂トンネル、工事中の様子を見学させていただきました!

みなさま、こんにちは! Kanaです。

阿蘇カルデラの西側では、2020年10月に国道57号北側復旧道路の一部として二重峠トンネルが開通し、交通の便が大変よくなりました。
そして現在、カルデラの東側でもトンネル工事中ということはみなさんご存じでしたか?
現在の国道57号には、阿蘇のカルデラから出て大分方面に向かうとき、滝室坂という外輪山壁を上る難所があります。
平成24年の九州北部豪雨の際には、つづら折りの滝室坂は11か所も被害を受け、人々の生活、経済活動、流通、観光と大きな打撃を受けました。現在でも連続雨量170mmになると通行止めになります。
熊本と大分をつなぐ、交通の要。ここがストップしてしまっては、、、、とこの災害の翌年、平成25年にこの滝室坂トンネルの計画がスタートしました。
そこから5年の準備期間を経てついに、平成30年に工事がスタート! 
昨年9月に避難坑が貫通した際は、ニュースにも大きく取り上げられ、ご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんね。

先日、現在まだ掘削が続く、この滝室坂トンネル見学に同行させていただきました!

まずお話を伺ったのは、カルデラの外側になります阿蘇市波野の大成・杉本JVさんの事務所。

こちらで、現場監督を務められる国土交通省の永松さんからトンネル工事に至った経緯や概要を、そして大成・杉本JVの田端さんより掘削の工法など技術面のことを主に教えていただきました。

ここでお二人ともに興奮してお話してくださったのは、今回のトンネル掘削で、阿蘇山の生い立ちである45万年の歴史を旅することができるということ!

阿蘇山では過去、4回の大噴火があったといわれており、それぞれの噴火にASO-(数字)という名前が付けられています。
27~28万年前がASO-1, 14万年前がASO-2, 12万年前がASO-3, そしてこのカルデラができたという最大の噴火が9万年前でASO-4です。
これらの層の一番下にあるのが噴火の前の先阿蘇と呼ばれる地層で45万年前のものだそうです。
滝室坂トンネルは全長4.83㎞、勾配4%で阿蘇カルデラの内外をつないでいて、阿蘇市波野側から下がっていくとASO-4,3,2,1,と下がっていき、最終的には45万年前の先阿蘇の地層に到達するということ。。。。すごい!
掘削の過程で出る岩石や、地層の境目など、このような機会がなければ、見られない貴重なものということで、様々な分野の方を魅了する工事となっているようです。
トンネル見学の前に、各年代の岩石を見せていただいたり、実際に持たせていただいたりしました。

水を通しにくい粘土質な昔の火山灰。触ると本当にぐにゃっとしています。

片手で軽々持ち上げて力持ちになったように見える気泡だらけの岩石(?岩じゃないみたい)。

そして熊本県の宇土市でやはりASO-4の溶結凝灰岩として出土し、関西地方の権力者の棺にも使われた馬門石(まかどいし)のようなきれいなピンクの石も。。。
シンプルにトンネル見学だけと思っていたので、このような貴重なものを見られるとは思わず、とても興味深かったです。

地質学などが専門の先生方も見に来られたそうで、阿蘇でトンネルを掘る、ならではの副産物があるんだな~とあらためて阿蘇のすごさを感じました。

さてさて、45万年の旅へ!
いよいよ、事務所のすぐ横にある波野側の坑口から入ります。たくさんの工事車両に、安全管理のブサーなど、、、ちょっと緊張しながら乗っていると、あっという間に別世界!

滝室坂トンネルはNATMという山岳トンネルの掘削工法を使って掘られています。
掘る工程と支える工程の繰り返しです。
少し掘り進んだら土砂を出し、支保工と言われる枠を1~1.2mごとに入れ、間にコンクリートを吹き付けていきます。さらにロックボルトを打ちこんでトンネル全体を補強します。ロックボルトの長さは6m!青い色のついているところがすべて、ロックボルトが入っている場所です。おびただしい数のボルト! 

これを以前は人の手でそれぞれの穴に差し込んでいたそうで、それは大変で危険も伴う作業。。。そこで大成・杉本JVさんは機械でボルトを差し込む重機を開発されたそうです!現在も滝室坂トンネルの工事でその初号機が活躍中とのこと。やはり、トンネルの一番奥が最も危険が高いので、なるべくそこに生身の人間を入れないことが安全性を上げることにつながるそうです。

遠隔操作で、安全に作業ができるすばらしい技術ですね。

防水シートを貼った後は、その上からさらに40cm程度の覆工コンクリートを打設し、よく見慣れているトンネル内の姿になっていきます。

下の地盤が不安定な場所では、トンネルを一番強い形である円筒状に近づけるために床部にインバートと呼ばれるコンクリートを打設して、補強します。

こちらはその作業中。

さて、本坑はまだ貫通していませんので、向こう側に行くためにはすでに貫通している避難坑を使います。

避難坑、そして避難坑と本坑をつなぐ連絡坑は、トンネル坑内で火災や事故などがあった時にトンネル外へ出るための設備です。その設備がある国土交通省が管理しているトンネルは、九州にも3つしかなく、宮崎に1つ、残りの2つが阿蘇カルデラ西側の二重峠トンネル、そして東側のこの滝室坂トンネルなのだそうです!

本坑よりも内径が小さく地中探検のような避難坑の途中で、一度ストップして記念撮影~。

ここが両側から掘り進めてつながった貫通ポイントです! 

それぞれ両側から掘り進めていって貫通した時の誤差はなんと7mmだったとか。見た目にはもうぴったりです!!すばらしい技術ですね。
また連絡坑を抜けて、阿蘇カルデラ内の坂梨側から掘り進めている反対側のエリアへと移動し、こちらの坂梨工区を担当されている清水・東急・森JVの平野さんより色々とお話をお聞きしました。

トンネル工事の事前調査により、ASO-1とASO-2の間、またASO-3とASO-4の間には地下水の層がある可能性がありました。

滝室坂は4%の勾配があるトンネルとなっており、上から掘り下げていく大成・杉本JVさん側で水が出ると排水が難しいので特に懸念をされていましたが、運よく水の層に当たらず順調に工事が進んでいるそうです。
一方、排水を重力に従ってできる清水・東急・森JVさん側では、今ちょうど水が出やすい層の付近を掘削されており、トンネルの一番奥ではその先に何があるか慎重に見極めながら、また、やわらかい層に12mのパイプを差し込んで、地盤を固めるような液を注入しながら進められているところでした。

さて、面白かったのはこの機械。こちらの工区は民家が近いこともあり、近隣の皆様への配慮をしながら工事が行われています。夜間も掘削土砂の排出作業などを続けられますが、ダンプによる振動で近隣に迷惑をかけるので、掘削によって出た土砂をクラッシュして、坑口までベルトコンベアーをつなげて土を外に出しているそうです。
さらには、坂梨側のトンネル出口には防音の扉がついていたりと、安全や住民の方々などに十分に配慮してトンネル工事が進められていることがよく分かりました。

トンネルの中では時間の感覚がなくなり、外に出てみたらすっかり日が高くなっていて不思議な感じ。

現場監督の永松さんも週末のお休みはトンネルの外で、阿蘇の自然を満喫されているそうです。

完成がいつなのか気になるところですが、そこはサプライズにしたいので、まだ秘密~とのこと^^
熊本と大分がまたぐっと近くなる日が待ち遠しいですね!

 

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