伝統の舞を継承するために~中江岩戸神楽殿~

200年以上前から、阿蘇市波野中江地区に伝わる神楽。中江岩戸神楽保存会を発足し、33座の神楽を郷土芸能として伝承しています。
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、昨年は定期公演を開催することが出来ない日々が続きましたが、今年は4月の定期公演から披露することが出来、幸先良いスタートを切りました。定期公演が開催できない日も保存会の方は、各々で練習を行い、定期公演が開催される日を楽しみに待ち望んでいました。
神楽には楽譜や資料はなく、一つ一つの舞は、先輩から後輩へ言葉と体で伝えられてきました。笛・カネ・太鼓の3つで音を奏で、舞手の呼吸と合わせることで一つ一つの演舞が決まります。太鼓の音に強弱をつけ、派手に打ち鳴らすさまは、まるで神々の代弁をしているかのようです。

中江神楽定期公演は、33座ある舞の中から毎回5座を披露されます。将来を担う候補生の小学生による「五方礼始(ごほうれいし)」から始まります。
神楽を奉納するにあたり、東・西・南・北・中央の五方にお祈りをし清めます。
その次に披露されたのは、第十座「朝倉返(あさくらがえし)」
国生みの神イザナギ・イザナミは日本国をお創りになったあと、自然界の神、山・川・木・草などの自然界の神々をお産みになりましたが、イザナミの尊は最後に火の神を産んでしまい大火傷をしてお亡くなりになってしまいました。その後、イザナギの尊が火の神を切り殺した時に飛び散った血から生まれた岩裂、根裂の神は、中津国が無事に天孫に返ったことを祝って舞います。
音に合わせてダイナミックに舞い、喜びが表現されていて息もぴったりの舞は、見る人たちを魅了していました。

この日は、「神楽男子」初お披露目の日という事で、多くの見物客で賑わっていました。
「朝倉返」を披露しているこちらのお二方も「神楽男子」のメンバーです。
次に披露されたのは、第二十座「柴曳」。
神と人との運動会で、真坂樹(榊)を観衆と引っ張り合うという、大人は見ていて楽しいですが、子供は逃げ回ります。
神楽では、赤ちゃんや子供を舞手に抱いてもらい、健やかな成長を願うという風習があります。親は舞手に抱っこしてもらいたい、子供は逃げたい!!というところが見どころです(≧▽≦)神楽殿の中にいるからと安心はできません(゚Д゚;)舞台から降りてきますから!!!

このような風景がみられ、終始面白おかしく眺められます。
次は第二十三座「天の〆」
スサノオノ命が天照大神がいる高天原へ行き、曲玉と三種の神器の鏡をもらって降りて来られる舞です。
この日、観客席には7メートルを超える1本の竹が準備してありました。会場に入った時から気になっていた1本の青竹。何だろうと思っていたら、高天原へと通じる竹だったのです!!
先程も申し上げましたが、この日は「神楽男子」初お披露目の日。この青竹登りをされる方も初めての挑戦だったとの事で、佐藤会長がマイクで紹介される時も「大丈夫かなぁ・・・大丈夫かなぁ・・・」と話していましたが、見事に大成功いたしました🎊
この日の最後を締めたのは、おろち退治で知られる第十六座「八雲払」。スサノオノ命がヤマタノオロチを退治し、クシイナダ姫を助けるというものです。


ヤマタノオロチに酒を飲ませ、酔っぱらったところをスサノオノ命が切り裂き、最後にオロチの尾を切った時中から立派な剣が出てきました。これが世に伝わった「草薙の剣」です。
私が見学した日の定期公演は3時間以上ありましたが、とても楽しく時間もあっという間に過ぎていました。
その日の神楽公演が終了し、ひと段落した神楽男子のメンバーに写真を1枚お願いしました☆彡

平成12年から波野小学校神楽保存会を発足し、子供たちも日々、神楽の練習に励んでいます。
「人並外れた逸材が1~2人は必ずいる」と佐藤会長はおっしゃいます。
幼いころ、舞台の下で見ていた神楽を舞う祖父(佐藤会長)の姿を追いかけてきた一人の青年。

「じぃちゃんみたいなヒーローになりたい!!」と言っていた神楽男子のメンバーの一人、Daichiさん。今では立派に成長し、たくさんの大舞台でも堂々と舞っています。
小さなころ、公民館から聞こえてくる笛の音、太鼓やカネの音を聞きながら成長した男たち。音を聞けば自然と体が動き出し、神楽を舞いたくなる・・・。
波野という名前は知っていても、国道からずっと入り込んだ場所にある中江地区の神楽殿。これから先も、波野で生まれ育った子供たちは、神楽を舞う先輩たちの見て、大人になったらきっとこの場所で見事に舞ってくれることでしょう。
「神楽男子」が華麗に舞う姿をぜひ一度、見ていただきたい。

 

 

 

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