コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「球麿川ライドの試走」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました。今回は阿蘇を離れて熊本県南部の球磨川を走り抜けました☆ 

それではお楽しみください。

 

日本各地で甚大な被害となった令和2年7月の豪雨は、熊本でも日本三大急流のひとつである人吉盆地から八代平野を潤し八代海に至る球磨川が氾濫し大きな被害を与えた。現在も球磨川流域各地で復旧プロジェクトが進むなか、人吉市では復興まちづくり計画が進んでいる。そのなかで地域経済の再生においては「豊かな自然と歴史・文化の魅力の再発信」を掲げて復興にまい進されており、機会があったら自転車で訪ねてみたいと思っていた。

そのようなときに毎月開催している阿蘇満喫モニターライドに参加された八代の方から、球磨川沿いを人吉まで往復するサイクリングの試走に誘われて、道の駅阿蘇の下城さんと私のサイクリング活動をサポートしてもらっている方の3人でかつて24回開催された球磨川センチュリーライドのコースを走ってきた。

 

試走日は日曜日だった。理由は球磨川沿いの河川の復旧工事等により平日は狭い道を走るトラックが多いが、工事が休みの日曜は一般車両を含めて極端に少なるためということだった。実際に走ってみると確かに車はほとんど走っておらず、道路は狭く多少の荒れはあるものの地元の3人の方のサポートにより快適なサイクリングと共に被害の凄まじさを目の当たりにした。

 

コースは八代から上流の人吉に向かって球磨川沿いの国道219号と県道を通行止めや橋の流失によって交互に走る区間があり、その度地元の方から豪雨の被害と復旧の説明を話してもらった。県道158号をスタートして濁流に線路を吞み込まれ不通になったままのJR肥薩線沿いを走り、西部大橋から国道219号に渡り流失したものの新たに架けられた坂本橋を渡った。グーグルマップの航空写真を見ると水害後の映像でこの橋は無く、中央の橋脚が残ったので鉄骨の橋脚により開通したとのことだった。このような一応工事が終了したところや、工事中のところ、未だ手つかずのところ、工事の構想を聞くとその巨大さに驚くばかりだった。

 

ここは取り壊し工事中の八代市坂本支所、グーグルマップではまだ残っている。

 

赤い印のところまでが濁流の水位

 

橋が半分流失したJRの球磨川第一橋梁

 

復旧工事はこのまま橋を架け替えるのではなく、現在のトンネルの上に新たなトンネルを掘り橋も高くする構想らしい。JR肥薩線の復旧費は235億円、国が公共事業で百数十億円負担しJR九州の負担は7割近く軽減されると報道された。

球磨村森林組合前にある電柱。

自転車のすぐ上の「実績浸水深」はその上の3.8mの深さになる。

 

手付かずの被害箇所も多かった。

 

国道219号は素晴らしく走りやすかった。ところどころ片側通行はあるものの、とにかく車が少なくてサイクリングロードのようだった。それに巨石が累々とするさまや、両岸のえぐれた岩盤は、台湾の太魯閣のヒルクライムレースの序盤を思い出した。

 

昼食はサイクルラックのある球泉洞にした。というよりここまでコンビニはもちろん、営業して食事処や店舗もなく生活している方も少ないようだった。ここに訪ねる観光客も八代方面からではなく人吉方面からがほとんどのようだった。

スタートしてしばらくして小雨になりずっと降り続けてかなり寒くなっていた。なので人吉市内までを断念して一勝地で折り返すことにした。ここからトンネルを下って行った。

219号から川を渡り一勝地へ

 

一勝地駅舎内に球磨村観光案内所があり列車は不通になったままだがこのような記念切符が販売されていた。受験やスポーツの縁起担ぎで買われるという。

 

駅舎内には水害当時の写真を掲示するコーナーがあった。

 

球磨川沿いにある集落はこのように濁流に吞まれるか浸水し、土砂を取り除いた家屋はあるものの空き家が多く見られた。案内してもらった地元の方の話では、八代市内や人吉市内に仮住まいされている方が多いと言われていた。

 

水害後、ボランティアの方が土砂の排出や片付け等をされたものの、道路は最大20分の片側通行が何カ所もある上に病院やマーケットがなく住まれていない家が多かった。

 

一勝地側から見ると球磨川の先に219号がありその上にあるのが球磨村役場だ。被災したから山の中腹に移転したのではなく、川の両岸が山になるため土地がなく水害前から山を切り開いてこの位置に建設されていた。この地域で大雨が降ると川が氾濫するのではなく水位が上がっていくことになるため被害が大きくなる。

 

帰りは緩やかな下りが続く県道304号になりコースの注意事項を聞いて折り返した。

 

狭いが車はほとんど通らずサイクリングロードみたいだった。

 

肥薩線の線路跡が凄まじい。

 

 

道路が流失しているところは肥薩線のトンネルを舗装して道にしてある。

 

このような肥薩線の明治時代のトンネルがいくつかあって新鮮な体験になった。

 

県道から瀬戸石発電所を渡って219号へ

今回のコースで唯一営業している道の駅坂本で最後の休憩。

ここの住所の字名は「荒瀬」、日本三大急流球磨川が暴れてこの建物も水没したが、地元の方やボランティアの方の努力により営業を再開されたようだ。

 

せっかく来たので何か買おう思っていたら、一緒に走った方より八代の名物パン「ミカエル堂」のシュードーナツがおすすめと聞き買って帰ることにした。ちなみに「シュー」とはフランス語でキャベツのことで、合挽き肉と塩コショウ味付けしたもの。ほかにも何かないか店内を見渡していると、家内から人吉に行くのだったら買って帰るように頼まれていた「山の幸海の幸」があったのでそれも合わせて土産に買った。

 

行きはゆっくりと上るので獲得標高は900mを超えているがほとんど気持ち的には平坦なコースだった。人吉まで行けば100km程度なのでとてもいいサイクリングコースになる。それに木陰が多く球磨川の畔という暑くなるこれからはおすすめではないかと思った。

 

平日は狭い道を工事のトラック等が多いということなので平日のライドに限るコースになり、プライベートで走りにくるのは問題なかろうと地元の方も言われた。実際に走ってみてほとんど車は走っていなく、特に帰りの県道は道路封鎖するツール・ド・おきなわを走っているような錯覚にもなった。

 

2016年の熊本震災を被害が大きかった阿蘇で観光にたずさわる立場として経験したことは、楽観はできないものの地震も落ち着いてきたが観光客が途絶えたまま先が見えない雰囲気が続くことだった。それは自然災害の怖さとアクセスの悪さもだが、災害復旧の中、まだ訪ねてはいけないだろうという自粛もあったように思う。そこで自転車のみなさんに来てもらうことから道は開けてきた。阿蘇のサイクリングはカルデラによる景観が人気だが、独特の自然環境を有する球磨川においてもそのポテンシャルは素晴らしいので、現状のまま取り組めるサイクルスポーツは復興の第一歩として有効かもしれない。

 

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