コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「サイクルライフレポート」

コルナゴ部長こと中尾公一さんからレポート「サイクルライフレポート」が届きました。コロナ禍でサイクルイベントも中止になり肩を落とされている方も多いかと思いますが、コルナゴ部長が過去に参加したイベントを通し、刺激をいただき、いろんなことに挑戦する活力にしましょう~!それではどうぞ~

 

熊本県に発令されたまん延防止条令により8月の阿蘇満喫モニターライドは中止し、予定していたライドもすべて取りやめ今年の夏の阿蘇のサイクルイベントは終わりました。

全国的には国内で開催される自転車レースの中でも屈指のビッグイベントである「ツール・ド・おきなわ」のレース部門が8月13日に中止の決定が下されました。私もこの大会を目標に1年間練習に励んだ者のひとりですが、2020年に引き続き今年も中止となった現実を静かに受け止め来年に期待します。

コロナ禍により生活が制限される条例と梅雨が重なり実走できない6月に「ジロ・デ・イタリア」の体験をもとにした私のサイクルライフレポートを2回にわたって記事にしました。今回はより深刻な状況となり私もまったく実走できない日が続いています。そこで気分転換といつかは紹介したかった2013年から2019年まで7回参加した私の年間目標にしている「ツール・ド・おきなわ」をレポートします。

この大会が私のサイクルライフにおける年間目標です。今まで進学も就職も漠然とした流れで何となく決めてきましたが、沖縄を走るようになった2013年、55歳にして「ツール・ド・おきなわ市民100kmを完走する」という私にとって大切な目標ができました。

目標を立てることで計画的な取り組みと自分を客観的に評価することができるようになりました。更に目標を達成した自分の明確なイメージ(ゴールした時のガッツポーズなど)を描くことで、努力し挑戦し続けることが習慣になり精神的に疲労が重なるときも冷静になれるようになりました。このことは普段の生活なかで応用できて大きな支えとなっています。コロナ禍の現在の深刻な時こそ、目標を掲げてサイクルスポーツに取り組むと、カラダとココロの両輪がバランス良く保てて元気の源になると思います。

「ツール・ド・おきなわ」は、毎年11月第2土曜から日曜に沖縄県名護市を中心に沖縄本島北部地域で1989年から開催されている自転車競技大会です。日本唯一の亜熱帯の森を抜ける道や幹線道路である国道58号線を封鎖して走る国際レース部門と市民レース部門、そして2日間をかけて沖縄本島を1周する全行程336kmの「本島一周サイクリング」をはじめとする距離や目的地別のサイクリング部門が開催されます。この3つの部門26種目に2019年には約4500人の選手が国内外からエントリーしています。

レース部門の最上級クラスとなる距離210kmの「チャンピオンレース」はUCIアジアツアーに組みこまれており、アジアツアーでのレースグレードは1.2(2級カテゴリーのワンデーレース)となっています。

国際レース部門には男子チャンピオンレースと女子国際レース100km、市民レース部門には国内最長の210kmを筆頭に140km、100km、50km、10km(小学生)の各レースが開催されています。なかでも市民レース部門の210kmクラスは「ホビーレーサーの甲子園」と称され、国内最高レベルの過酷なレースに、全国から競技力の高い選手が挑戦するアマチュア1Dayロードの最高峰になっています。

私がエントリーするのは市民100kmです。210kmは次元が違います。50kmはレース志向の人が多く危なくて性に合いません。140kmは10歳若ければ挑戦したいと思いますが、現実は市民100kmを完走することを目標にしています。その目標達成のために春から嫌にならないように、無理をしないで、体調を維持しながら自分の持ち味を活かした練習に取り組んでいます。

市民100kmには40歳を境にオープンと私がエントリーするマスターズのそれぞれ350名のカテゴリーがあり、5カ所の関門をカテゴリーや部門に関係なく定められた制限時間内に通過しなければなりません。市民100kmは人気で特にマスターズはネットで募集が始まると翌日には定員ということもあります。なのでエントリーを完了するところからすでに戦いが始まります。

市民100kmのスタートは、210kmの選手が目の前のスタート地点を通過したあとになり、レースの流れによって時間が変わります。同じスタート地点からは国際女子が最初に出て、オープンの350名とマスターズの350名は、210kmのレース展開により先に出るか後になるかスタート直前に決まります。ちなみに2015年は210kmがゆっくりしたペースだったのでスタートが遅れ、なおかつマスターズが最後のスタートとなったため完走率はわずか24%(下記比較)と厳しい年もありました。その年は完走出来ず4番目の関門で赤旗を振られ娘の結婚式以来の涙でした。

2015年 市民100km(オープン)

最終走者タイム:4時間06分28秒  

平均時速:24.34km/h

完走率:160/301≒53.1%

 

2015年 市民100km(マスターズ)

最終走者タイム:3時間38分41秒  

平均時速:27.43km/h

完走率:82/337≒24.3%

市民100kmのスタート地点で210kmの通過を待つ市民100kmと国際女子の選手

210kmのプロ選手通過を見守る国際女子・市民100kmの選手

国際女子のスタートのあと「奥やんばるの里」に待機していた市民100kmの700名がスタート地点に並びます。ここでスタッフの方が連絡をとりながらオープンとマスターズのスタートの順番を告げられます。

やっとスタート地点に立てました。自分で写真を撮るのはこれが最後です。最後に私のすぐ後ろに並んだ新垣さんという方の動画がありますので是非ご覧ください。このレースの全貌が見れますよ。

ここまでが一苦労です。まず細長い沖縄本島を思い浮かべてもらうと、南に空港がある那覇、真ん中くらいに名護、北端がスタート地点の奥になります。前日に名護で受付、ここがゴールとなるのでレンタカーを港に駐車、国頭村の宿まで35km自走、翌朝5時朝食後2km先のシャトルバス乗り場まで自走しスタート地点まで運んでもらう自転車と名護で受け取る荷物をトラックに預けバスに乗車、スタート地点の沖縄本島最北端の奥で10時近くまで待機、出走票を提出し名護で受け取る最後の荷物を預けて、スタッフの方の合図があって国道58号線のスタートに立つことができます。

「ツール・ド・おきなわ」を走るようになったのは、菊池の宿泊施設のときから交流のあった沖縄のサイクリングチーム「チームキッズ」の安田さんから誘われたのがきっかけです。そもそも沖縄遠征や本格的なレースなど自分には合わない、無理だと思っていました。しかし、那覇空港まで来ればスタート地点までチームの仲間と一緒だからとチームキッズのショップであるバイシクルキッズの大城店長のお誘いに甘えさせていただき55歳にしてスタートに立つことができました。

1年かけて挑むレースですからレース当日のトラブルを回避するため、自転車は1、2か月前には購入したイワイスポーツサイクルさんで消耗品の交換や点検をしてもらいます。そして、飛行機輪行はダメージを受ける可能性が大いにありますので、本番でのバイクトラブルの回避と命を預けるものですから沖縄到着後、バイシクルキッズさんでもう一度点検してもらっています。

チームキッズの市民100kmと140km参加の方が利用される国頭村の宿「やんばるくいな荘」は2013年以降毎年利用しています。理由は宿のお母さんや娘さんの優しさと美味しい食事、大会の日も朝5時から納豆以外はすべて手作りの沖縄らしい朝食を出してくれます。ここ数年は大会3日目前からお世話になり、やんばる国立公園の森や海岸線をサイクリングで楽しんだり、沖縄そばの店を訪ねたりしています。料金は格安で1泊2食付き5000円でお釣りを出されます。

2015年、関門で足切りになった時に知り合った平田君。話していたら偶然にも最初に出会った安田さんのチームメイトで以来お世話になっています。2019年は下りで藪に突っ込んだものの自力で復帰し完走されました。

キッズジャージを着ていると、レース中にメンバーの方に声を掛けてもらったり、沿道のメンバーの家族の方から応援してもらい気持ちが和らぎます。選手の方からは私を沖縄の人と思われて「この先から上り坂ですよね」など道路状況を尋ねられたり、「後ろに着かせてください」と言われたり見られていることを感じますので、キッズメンバーとしての振る舞いには気を使います。

ではレースについて紹介します。

スタートしたらすぐに4km、平均勾配5%の上りが続きます。350名の一斉スタートですが、他のレースが平坦路のスタートに対して上りなので落車等の事故は少ないのが市民100kmを選ぶ理由でもあります。

関門は与那、普久川、宮城、安倍、川上の5カ所あり制限時間内に通過しなくてはなりません。65km地点の慶佐次は走りながらのボトル補給地点になります。この頃の熊本の平均気温は16度くらいでしょうか、服装はTシャツに長袖シャツにGパンで熊本を経ちますが、那覇空港に着くとムッとした暑さですぐさま長袖シャツを脱ぎます。外に出ると真夏のような暑さでレンタカー店に行くマクロバスにはクーラーが入っています。この慣れない暑さがレース中に水分の補給が遅れ足攣りを引き起こしてしまう原因だと思います。

スタート直後の上りと普久川までの上りでかなり疲労し、そこからのダウンヒルで足を休めたと思ったら、宮城までのアップダウンで疲弊し、足攣って自転車を降りる、もしくは減速して関門を越えられないというパターンが多いのでないかと思います。

よって身体が忘れた炎天下にアップダウンにより削られる足をいかに攣らない対策をするか、そして足が攣ってもどれだけ踏み留められるか、平坦路では一人旅をせず常に集団で風を避けるようにするか、後半40kmが勝負処、適切な水分補給とハンガーノック防止の補給食など、戦略なしでは私より断然強い人でも完走できない場合があります。

2015年の4番目の関門で赤旗振られ足切りにあった時の写真です。笑っていますがこの後泣きました。以前、自転車仲間から教えてもらいました。足切りなったらそこに選手収容バスが用意されていますが、乗る人は全員完走できなかった悔しさのためシーンと静まりかえっているとか、よってこのバスはお通夜バスと呼ばれています・・・私はバスには乗らず剝ぎ取られたゼッケンとセンサー無しのツール選手からただの自転車乗りになって自走で帰りました。

こんなの見たら元気でますよね。私が完走できたのは沖縄の自転車乗りに友人が多くレースの情報が豊富なこと、それにキッズジャージを着ているのでメンバーの後ろに付かせてもらえること、これは大きいと思います。

最後の川上の関門に近いタクジトンネル入ると途中から声援が聞こえてきます。そしてトンネルを抜けると多くの人、それもジャージを着た人、市民50kmをゴールした人たちが応援に来られるのが羽地ダムの上りです。道の両脇で太鼓や鐘の鳴り物の熱狂的応援をされ選手にとってはレッドカーペットとでもいいましょうか、ただし、レースも後半で痛々しく消耗していますのでここで足攣りや筋肉の痙攣でみっともない姿はさらしたくない、笑顔で元気よく通過したいというのが沖縄ツール選手、なので顔だけは笑って声援に応えます。

これは2018年の写真ですが、トンネルを抜けて声援を受けながら右に折れるといよいよ羽地ダムの上りです。上の方から声が聞こえてきます。

「キッズが来たぞ!」

「誰・・・?」

「誰だ!」

「中尾さんだ!」

「コルナゴ部長!!がんばれー」と黄色い声援も

興奮して応援する大城店長(すでにビールで酔っている感じ)、他にもいつもお世話になっているキッズメンバーにパワーをもらって復活しました。

 

キッズの宮本さんの後ろに付かせてもらって何とか上り切りました。

ここを過ぎるとすぐに最後の関門の川上です。

「大丈夫かな」と近くの選手から聞こえてきます。

街並みが見える直線になると沿道には応援の人たちが見えてきます。

遠くに旗が・・・

どっちか!

白旗だ!

白旗が大きく振られている!

太鼓の音も聞こえてくる。

関門には10名くらい並んだスタッフの拍手で通り過ぎます。

近くにいた選手の「ありがとー!」の叫び声

「やったー!」とガッツポーズの選手、

上りや下りではばらけますが、平坦になると自然と集まって走ってきたグループからも歓声が沸き起こりました。

私も自然に涙でした。

関門を過ぎるとすぐに国道58号、左折し名護のゴールを目指します。すでに完走したので流す人もいますが、次は順位とタイムを狙うため2車線3車線を封鎖し信号も止まった2回目のレッドカーペットでの激走が始まります。

途中にはイオン坂という最後の坂がありますが、安倍あたりから、ふくらはぎや太腿が攣ったり回復したりの腫物状態でしたが、登り切ってペダルを緩めた瞬間、強烈な締め付けと、ふくらはぎがゴルフボールの塊になってゴリゴリとした苦痛、完全に攣りました。50mほど先に青いジャージが見えます。宮本さんかな。必死にペダルを回していると、フワッと痛みが減って、消えてはいませんが、まだ何とか走れそう。しばらく我慢して踏み続けると不思議と痛みが消え、スピードも上げられる。フィニッシュのアーチが見え力のある限り走り完全燃焼してゴールしました。

普久川では220位で制限時間32分を残して通過したものの、宮城では順位はそのままですが残り20分になりました。安倍で195位になり24分と4分増やし名護のゴールまで力の限り走りゴールしました。

2019年市民100kmマスターズの結果は

走行時間 3時間41分

平均時速 27.5km

順位   167位

完走率  224/341≒65.6%

リザルト http://www.tour-de-okinawa.jp/PDF/2019/07_result.pdf

1位は40歳の神奈川の方で2時間57分、2位は43歳兵庫、3位は44歳埼玉、60歳代の完走は8名で1番の方は何と99位の68歳の方、2番66歳、3番68歳、4位62歳、そして5番目が私で当時は61歳でした。来年開催されれば2年間が消えて64歳で走ることになりますが、先輩諸氏の例からするとあと4年は走れそうです。

血眼の形相で走るばかりが「ツール・ド・おきなわ」ではありませんが、エントリーする人の目的に応じて一度チャレンジされて経験するのも損ではないと思います。

何らかの手応えは国内サイクルイベントの中でも最上位だと思いますので年間目標におすすめですし、いろんな部門がありますので高過ぎる目標ではなく自分にとって丁度いい選択が出来ると思います。(レース部門の女性は市民50kmと選手登録をすれば国際女子100kmにエントリー可能)

私の場合、この大会は終わったあとの溢れる達成感と抜け殻感がたまらない魅力です。人生のピークは過去ではなく未来にあると教えてくれるサイクルスポーツ、楽しみを先送りして今は我慢というのはもったいないとやがて63歳の誕生日を迎えるあまり先が無い人の感想です。

ゴールしたあと最初の頃はチームキッズの打ち上げに行っていました。でも自分の時間を楽しむようになり、この年からは家内と娘と当時1歳3か月の孫ちゃんと合流して沖縄旅行を楽しむように進化しました。そして、今年は息子嫁と孫ちゃんの2名が加わり沖縄満喫の予定でしたが中止となって、私以上に残念だったのは娘と息子嫁だったようです。

最後に2019年市民100kmマスターズのYouTubeの紹介です。石垣島の方が撮られたもので、この方は残念ながら最後の川上の関門で足切りとなりましたが、このレースの全貌が見れる思います。

動画が始まりスタートに並ぶ私(青いキッズジャージに赤いCOLNAGO)が写りこの方はすぐ後ろに位置されています。スタート後スピードアップされて私は抜かれていますがどこかで抜き返していますがまだわかりません。

オオシマゼミの「カーン、カーン」という鳴き声や、右側をオープンの選手が勢いよく抜いて行くシーン、ダウンヒルの迫力、救急車のサイレン音、落車事故現場で注意喚起する広報車、後半にも救急車が右側車線を行くシーン、足が攣って立ちすくむ選手、羽地ダムの上り、そして川上近くなり不安の様子を話すグループ、道路を封鎖するコーンが見え赤旗が振られて足切り、ゼッケンとセンサーを取られるシーンなどなど、走った方は今でも蘇る映像を再現できますので是非ご覧ください。

 

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