コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「阿蘇を訪ねる女性のひとり自転車旅」

コルナゴ部長こと中尾公一さんよりレポートをいただきました。
今年最後のレポートです。

今年も多くの方を阿蘇ライドに案内したが、一番記憶に残ったのは10月にひとりで阿蘇を走りに来られた3人の女性の方をそれぞれの思いを尋ねて案内したことだった。
年代も自転車に対する取り組みも様々だが、阿蘇を自転車で走りたいという熱い気持ちのみなさんは、休日は天気がいいときはよく自転車に乗っていろんな大会に参加している方、弱虫ペダルを見てロードバイクで阿蘇を走りその後自転車レースの観戦が趣味になった方、自転車は通勤のママチャリだけだが学生の頃行った阿蘇山に上ってみたい方、そんなみなさんに合ったプランを考えてご一緒した。

大阪在住のナツミさんは5年前に運動不足解消のためロードバイクを購入し、その年にひとりで阿蘇に来られた。当時上映されていた映画「弱虫ペダル」で登場したラピュタの景色を見たいということで、初心者が迷わないように手書きの地図を渡してサポートしたところ、ひとりでラピュタに上っただけでなく壮大な阿蘇の絶景をも堪能された。
5年経ちラピュタは熊本地震以降通行止めのままだが「また阿蘇を走りたい」と熱いメールが届いた。そのメールには、この5年の間に走ることに加えてレース観戦にも夢中になっていること、2016年パリ~ルーベの覇者であるミッチェルトン・スコットのマシュー・ヘイマン(優勝時はオリカ・グリーンエッジ、現在は監督)のファンになったこと、レース観戦のため海外遠征をして今では彼の家族やチームメンバーとも気軽に話せるようになったことが書かれていた。海外の選手達は日本人ファンのSNSも見ているそうで、阿蘇遠征のことをSNSにアップして大好きな阿蘇を見てもらいたいとも話していた。海外プロチームの皆さんにも阿蘇の魅力を知ってもらうきっかけになればと当初1日だけの案内から滞在期間の3日間を完全サポートした。

福岡在住のチエさんは私の阿蘇ライドに何度もお越しになり、パリ・ブレスト・パリの経験もあるブルベが趣味の方で、11月8日に開催された「阿蘇ヒルクライム」では女性の部2位になったサイクリストだ。そんな阿蘇に精通する走れる女性を案内したのは、15時を過ぎたら金色に輝くススキを見せてあげること、それと秘かな人気の高森の「上色見熊野座神社」の魅惑なスポットを案内した。

神戸在住のサナエさんは、牧野ガイドが道の駅阿蘇からレンタルできるE-MTBを手配し、阿蘇観光のメインルートとなるパノラマラインの坊中線で草千里や阿蘇火口、それに阿蘇神社を訪ねることにした。熊本出身のサナエさんは学生時代よく行った阿蘇山周辺を、疲れ知らずのE-MTBでゆっくりと走りながら当時の想い出に浸って欲しいと思った。

私は2007年、ロードバイクを始めると同時にブログを始めた。その間、12年は旅館で仕事しながら阿蘇サイクリングの情報や魅力をブログで発信した。当時は阿蘇をロードバイクで走る情報が少なく、ブログを見た方の反響は想像以上で宿泊にも結びつくようになってきた。なかでも阿蘇北外輪山の断崖を縫う峠道「狩尾峠」はまさに「天空の道」の名の通りであった。

この峠道を始めて知ったのは2010年の夏の終わりだった。ひとりでミルクロードを走っていたら降り口を見つけ突端に行くとその絶景にしばらく見惚れていた。それから朝夕何度も通った。そのことをブログで紹介したら「ラピュタの道」と教えてくれた方がいた。バイクの人たちには知る人ぞ知る峠道のようだった。だからわたしが発見者でも、名付けた道でもないけど、ブログの中では徐々に盛り上がっていった。

早朝の日の出の時が一番の見所だ。雲海が出ていなくても朝霧とオレンジの空の対比は素晴らしかった。2015年、映画として公開された劇場版「弱虫ペダル」のコースについて関わることになって、作者の渡辺航さんは考えられていたと思うが、当時旅館に来られた方に勧めていたラピュタで日の出を見てミルクロードを走る早朝ライドを提案したら象徴的なシーンになって、映画を見て感動のあまり涙したと話す方も多かった。この映画が与えたインパクトは大きく、若い女性層を中心に全国的にロードバイクが普及するきっかけになったと思っている。好きな選手が乗るメーカーの自転車を買って輪行で阿蘇を訪ねるいわゆる聖地巡礼の方を旅館では毎日見掛けるようになっていった。

しかし、ラピュタの道は2016年4月の熊本地震により多くの箇所が崩壊し、幹線道路でも生活道路でもないため通行止めのまま復旧の目途は立っておらず封印されたようになっている。劇場版「弱虫ペダル」が阿蘇観光に与えた影響は突出しているが、阿蘇サイクリングについて情報を発信し続けたことは菊池温泉と内牧温泉の各旅館時代にわずかだが新たな客層のリピーターになっていった。

このような経験により自転車は観光につながるとともに、1回来たら終わりではなく何度でも来てもらえるリピーターの定着化ができるものだと感じている。そのためにも今回のように女性ひとりでは体験できないコースを提案して案内するサイクルプランナーの存在が必要になってくる。地図があれば走ることができる幹線道路で行く大観峰や中岳火口など有名観光地を巡るコースだけだとリピート率は低い。それより車が少なくサイクリングに集中できる田舎道や草原の道を繋いでガイド自身の秘密のスポットを案内したりするガイドツアーはより魅力的に充実した滞在時間のなかで阿蘇を満喫することができる。

そこでプライベートライドの有料ガイドサービスを道の駅阿蘇から試験的にスタートした。正当な対価の発生しないサービスに継続性は見込めないので、片手間ではなく職業としてのガイドは今後の阿蘇の観光に必要であり、この仕組みができると阿蘇に住んで仕事したいというサイクリストの移住にも繋がる可能性を秘めている。現在阿蘇満喫ライドを案内している私と井上ミユキさん、阿蘇くじゅうサイクルツアーを主催しているトリムカンパニーの橋本君の3名がサイクルプランナーとなって新たな取り組みを始めている。

Photo by Yamamura

今年も多くの方に阿蘇満喫ライドに参加していただいた。2021年はコロナの影響により3月からライドを再開する予定なので、それまで面白いコースを試走して、みなさんと一緒に阿蘇を走り尽くしたいと考えている。

 

☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆

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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)

TEL:0967-35-5077

HPhttp://www.aso-denku.jp/

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あかうしのあくびvol.26

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