コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました✨
阿蘇くじゅうの豊かな自然をアートで紡ぐ、スタンプラリー連動の真夏山岳ライド。
国立公園内のビジターセンターを巡り、5つの印を重ねて1枚の絵を完成させる「遊印めぐり」と連動し、第1弾として菊池渓谷と草原保全活動センターの2箇所を訪ねるサイクリングを実施。
追い風の田園地帯から二重の峠を越え、静寂に包まれた「林道菊池・人吉線」の木陰を抜けて菊池渓谷へ到達し、苦労して押したスタンプが阿蘇の風景へと重なっていく達成感を満喫。
下り道で北山展望所や山田展望所からの絶景、そしてジオラマでのコース回顧を楽しみながら、アートと地域の歴史、そして自然の魅力を五感で重ね合わせる充実の一日となりました。
ぜひご覧ください🎵
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阿蘇くじゅう国立公園では現在、全国35国立公園の周遊を促進する「国立公園乃印」キャンペーンと連動し、公園内5箇所のビジターセンターを巡って異なるスタンプを集め、重ね押しで1枚の絵を完成させるスタンプラリーが開催されている。阿蘇満喫ライドでは、このスタンプラリーを自転車で楽しんでもらおうと、各ビジターセンターを3回に分けて訪ねるサイクリングを企画した。

実は、私はもともとスタンプラリーに強い関心があったわけではない。
それでも今回、「自転車で5つのスタンプを集めて一枚の絵を完成させてみたい」と思ったのは、このイベントのパンフレットに描かれたこの絵に魅力を感じたからだ。
阿蘇山と日の出太陽、鳥や蝶、草花、動物、そして楽しそうな人。どこか昔の型染めや民芸品を思わせる素朴な線と色づかいで、阿蘇の自然が一枚の絵の中に描かれている。
華やかというより、素朴で温かい。
少し懐かしく、どこか花札を思い出させる。
そんなふうに感じるあたりが私らしいのかもしれないが、それでいて、確かに阿蘇らしくて、これがTシャツになれば真っ先に買いたいと思っている。

この遊印めぐりのイラストを描かれたのは、新里恵さんである。
Instagramでも作品を見ることができる。
阿蘇山上ビジターセンターでは、遊印めぐりの用紙がぴったり納まる新里さんデザインのクリアファイルが販売されており、長者原ビジターセンターでは新里さんデザインの手ぬぐいも販売されている。
https://aso-visitorcenter.com/news/1276/

この遊印めぐりライドは、当初7月に第1回を予定していたが、雨のため中止となった。そのため今回は、あらためて菊池渓谷ビジターセンターと草原保全活動センター(草原学習館)を巡るコースとして実施した。
9月には、阿蘇山上ビジターセンターと南阿蘇ビジターセンターを巡るライドを予定している。さらに10月からは秋冬用の印に切り替わるため、急きょ平日開催となるが、9月16日(水)に最後の長者原ビジターセンターを訪ねるライドを開催することにした。

これが9月まで開催されている春夏版の完成品。

スタンプを押す用紙は各ビジターセンターに置いてあり、フレームに合わせて押すと、5つの印がきれいに重なって一枚の絵になるように作られている。5つの場所を巡り、一色ずつスタンプを重ねながらこの風景を完成させていく。その過程そのものが、広い阿蘇くじゅう国立公園を自転車で楽しむことと重なって見えた。

こちらは春夏版の3箇所版。はがきを持ち込んで押せば、余白にメッセージも書けそうだ。ただし、はがきより5mmほど幅が広いため、実際に使うには少し調整が必要かもしれない。

真夏にかなり上りの多いコースに挑戦されたのは、熊本から2名、福岡と大分から各1名の方が参加された。

阿蘇くじゅう国立公園遊印めぐり 菊池渓谷ビジターセンター編 · Ride with GPS
この日は、軽食がある昼食場所として予定していた菊池渓谷まで45km。到着は13時過ぎになる見込みで途中には店も自販機もない。そのため事前に、ボトルは2本を推奨し、補給食も持参してもらうよう伝えていたので、みなさんしっかり準備されていた。

道の駅阿蘇をスタートすると西への追い風。通常なら国道212号から北外輪山の麓を通る県道11号へ進むところだが、この日は風を味方につけられる幅8mの農免道路を選んだ。走り出してすぐ、軽くペダルを回すだけでビュンビュン進む。押さえて走っても時速35km超えて気分爽快だ。
真夏の空の下とはいえ、まだ朝の空気が残っていて、田園の中を抜ける道は実に気持ちがいい。右手に北外輪山を見ながら、左手には阿蘇五岳が広がり、周りには水田やその先の集落の風景が流れていく。追い風に背中を押されると、これから上りが待っていることを一瞬忘れてしまうほどだった。

やがて「狩尾の扇」が見えてきた。これは、阿蘇市狩尾の北外輪山斜面に、日の丸模様の扇の形に草を刈り取るこの地域の伝統行事だ。

狩尾の扇は明治時代に始まったとされ、毎年8月の第1日曜に、幅約70m、縦約50mの巨大な扇になるよう草が刈り取られる。この時期には緑鮮やかな扇を見ることができ、冬の積雪時には雪景色に包まれた真っ白な扇が現れる。
その西側には、10年前の熊本地震で通行止めになってしまったラピュタの道が、峠を回り込みながらミルクロードへとつながっている。
阿蘇谷を縦断するように進んでいくと県道23号菊池赤水線に出て、そこから距離3.1km、平均勾配7.7%の二重の峠の上りになる。やがて道は少しずつ高度を上げはじめる。気がつけばじわじわと脚に重さが出てくる。真夏のライドでは、序盤に踏み込み過ぎないことが大事になる。

二重の峠は2016年の熊本地震を境に大きく姿を変えた場所のひとつになった。地震で国道57号が阿蘇大橋付近で崩壊し、阿蘇へ向かう大動脈が長く寸断された。その復旧のために造られたのが、国道57号北側復旧ルートである。ルートは二重の峠の下をトンネルで抜けるようになり、それまで車が行き交っていたこの峠道は、今では交通量がぐっと少なくなった。
おかげで静かな上りと見晴らしを楽しめる道として、サイクリストにはすっかりおなじみの峠になっている。写真は、2020年10月に開かれた「二重の峠開通記念ライド」のときの一枚だ。正式開通を前に、自転車とウォーキングで北側復旧ルートの一部を走ることができる特別なイベントで、普段は走ることのできない新しい道を、自分の脚でたどったことが今でも印象に残っている。

トンネルに入ると、外の暑さがふっと遠のき、思いのほかひんやりとした空気に包まれた。その涼しさが何とも心地よく、ここまで10kmほど走ってきた身体には、まるでご褒美のように感じられたことを覚えている。開通前の新しいトンネルを自転車で走るなど、もちろん生まれて初めての経験だった。まだ車が通る前の道を、自分の脚で静かに進んでいく不思議な感覚は、今思い返しても特別なものだった。ウォーキングで参加していた子どもたちにとっても、普段は決して味わえない、忘れがたい体験になったのではないだろうか。

多くのサイクリストが九州各地から集まり、開通前の新しい道を走れる特別な機会をそれぞれに楽しんでいた。私たち道の駅阿蘇のガイドメンバーもサポートライダーとして参加し、参加者のみなさんの走りを見守りながら一緒にペダルを回した。

熊本地震からの復興を象徴する道のひとつとなった二重の峠トンネルを、こうして自転車で走り抜けることができたのは、単なるイベント以上に心に残る時間だった。新しい阿蘇の道の始まりを、九州各地のサイクリストと共有できたことが何よりうれしかった。

今年の秋には、阿蘇市波野と一の宮町坂梨を結ぶ滝室坂トンネルが開通する予定だ。
国道57号の新ルートとして整備が進められてきた滝室坂道路は、延長6.3km、その大部分を約4.8kmの滝室坂トンネルが占めるという。ここが供用されれば、現在の滝室坂を行き交う車も少なくなり、二重の峠と同じように、自転車でじっくり上れる絶好の峠道になるのではないかと期待している。
できることなら開通前に、「二重の峠開通記念ライド」のような記念ライドが開催され、参加者と一緒に新しい道の始まりを走ってみたい。
しかし、令和8年熊本地震の発生からまだ日が浅く、県内では復旧や生活再建が続いている時期でもある。楽しみな気持ちがある一方で、実現には地域の状況を踏まえた慎重な判断が必要になるのかもしれない。
こちらは滝室坂トンネルの工事現場を見学に行った時のレポート。
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/blog-entry-2148.html

二重の峠の途中にある展望所で、いったん自転車を止めて一息ついた。上ってきた阿蘇谷を振り返ると、さっきまで走ってきた田園や集落が眼下に広がり、汗をぬぐいながらしばらく眺めていたくなる場所だ。ここから先はミルクロードを渡り、旭志方面へ向かって県道23号菊池赤水線を下っていく。やや長い下りで少し脚を休めたあと、三差路から林道菊池・人吉線へと入った。

これが林道菊池・人吉線の菊池・大津区間である。
距離は18.4km、幅員は7m。センターラインが引かれ、路側帯もガードレールも整っていて、林道という名前から受ける印象よりもずっと走りやすい道だ。しかも車の通りはほとんどない。この日も、道端に草刈り作業で停められていた軽トラックを1台見かけただけで、あとは森の中を抜ける静かな道を、ほぼ自分たちだけで走っているような感覚だった。

林道菊池・人吉線は、ただの山道というより、昭和の時代に描かれた大きな林道構想の名残のような道である。菊池市を起点に、人吉市まで続く森林地帯を一本の幹線で結ぼうとした国策的な計画で、総延長は110kmにも及ぶ予定だったという。けれども実際には、しっかり整備された区間もあれば、既存の道路をつないでいる区間、今では通行できなくなっている区間もあり、その成り立ちを知ると少し違った奥行きが感じられる。

私は林道菊池・人吉線のほかの区間を走ったことはないが、この菊池・大津区間は自宅からも近く、以前からなじみのある道だった。上っては下り、また上り返すというアップダウンの連続で、走り応えはなかなかのものである。ツール・ド・沖縄に向けて脚を作っていた頃には、練習コースとして何度も通った場所でもある。
ただ、この区間で唯一といっていい補給ポイントだった「シェルパ四季の里旭志店」が、現在は営業していないらしいという情報が入っていた。トイレや自販機があり、カップ麺なども買える貴重な休憩場所だっただけに、前日に車で立ち寄り、自販機だけでも残っていないか確認しておくことにした。
現地へ行ってみると、敷地そのものは封鎖されていなかったものの、自販機はすでに撤去され、玄関には休館を知らせる紙が貼られていた。菊池市から四季の里旭志の指定管理を受けていた、登山用品などを扱うシェルパが、今年3月で期間を終え、施設は休止しているようだった。
ライド当日にあらためて立ち寄ると、鞍岳登山のためか駐車場には車が数台停まっており、屋外にあるトイレは利用できる状態だった。補給はできなくなったものの、長い林道区間の途中でトイレを使えるだけでも、サイクリストにとってはありがたい場所である。

道は木陰に包まれる区間が多く、真夏のライドにはありがたい。とはいえ、ずっと森の中というわけではなく、時折ふっと視界が開ける場所がある。そんなところでは、菊池市街の向こうに金峰山が見え、さらに空気が澄んでいれば、その先に雲仙の普賢岳まで望むことができる。車はほとんど通らず、路面もよく、走りやすさという点では申し分ない。ただし、平らな区間はほとんどなく、じわじわ脚を削られていく道だ。

キャンプ場のある三差路まで来ると、林道菊池・人吉線の菊池・大津区間はここで終わる。そこからは林道鞍岳線へ入り、約1.5kmの下りを慎重に進むと菊池阿蘇スカイラインの念仏橋の横に出る。ここまで来れば菊池渓谷はもう近いが、最後に2kmの上りが待っている。木々の間を抜けながらもうひと踏ん張りして12時50分、菊池渓谷ビジターセンターに到着した。

到着してまずは食事にしようと思ったが、軽食を提供する店の入口には「13時15分から営業再開」と書かれた紙が貼られていた。しかもメニューを見てみると、昨年来たときにあったカレーやパスタはなく、食べられるものはたこ焼きと鯛焼きだけになっている。ここまで補給場所のない道を走ってきただけに、少し拍子抜けしてしまった。それでも待つほかなく、営業時間の再開を待って、たこ焼き750円は高すぎるのでやめて、全員の鯛焼き360円を注文し、あとは持参していた補給食で昼食を済ませることにした。

店が開店する間に遊印めぐりである。とは大げさだが、コーナーはビジターセンターの2階に上がってすぐの店の横にありスタンプ台が目に入った。

台紙を手に取って、まずは押す位置を確認する。遊印めぐりは、ただスタンプを押せばよいというものではなく、決められた枠に合わせて重ねていくため、少しずれるだけでも完成した絵の印象が変わってしまう。普段のスタンプラリーなら気軽に押してしまうところだが、この日はみんなで台紙の向きや位置を確かめながら、少し慎重にスタンプ台へ向かった。

菊池渓谷ビジターセンターの印は、清らかな流れを思わせる流水と、阿蘇の草原を象徴するオオルリシジミの絵柄だった。ぎゅっと押して、そっと台紙を持ち上げると、白い紙の上に青い水の流れと蝶の姿が現れる。まだ一部だけとはいえ、阿蘇くじゅうの自然が少しずつ形になっていくようで、思っていた以上に楽しい。サイクリングの目的地に着いて、ただ休憩するだけでなく、こうしてその場所ならではの印を残していくのは、思い出を持ち帰るようで面白い。

菊池渓谷ビジターセンターを出ると、今度は木漏れ日の差す菊池阿蘇スカイラインを上っていく。渓谷沿いの涼しい空気を感じながらも、じわじわと標高を上げる道はなかなか手ごわい。それでも木々の間から差し込む光や、時折抜ける風に助けられながら進むと、やがて北山展望所に到着した。
ここではいったん自転車を降り、景色を眺めながらアイスクリームで小休止。火照った身体だったが、段々と風が冷たく感じてこの夏初めて寒さを感じた。
北山展望所をあとにしてミルクロードを進み、国道212号へ入る。ここからは阿蘇谷へ向けた下りになるが、車の通行も多く、気を抜けない区間だ。海外の方が運転するレンタカーも多いので、スパって追い抜いてくれないのがもどかしい。

山田展望所でいったん止まり、ここでも小休止を取った。阿蘇谷へ下る途中のこの場所は眺めもよく、少し息を整えるにはちょうどいい。ただし、この先は油断できない区間になる。急カーブが連続するうえ、舗装を補修した跡がところどころ少し盛り上がっている。さらに道路脇の草が伸びて道にはみ出しているところもあり、左端を走れない場面もあった。

国道212号を下り切ると、草原保全活動センター(草原学習館)に到着した。ここまで来れば、道の駅阿蘇まではもうそれほど遠くない。気持ちにも少し余裕ができたので、館内に掲示されている遊印めぐりの説明をあらためて眺めながら、落ち着いて2つ目のスタンプを押すことにした。菊池渓谷で押した最初の印に、ここ草原学習館の印が重なり、台紙の上の絵が少しずつ姿を変えていった。

菊池渓谷で押した流水とオオルリシジミの間に、今度は草原と馬、そして阿蘇山の姿が重なった。まだ完成にはあと3箇所を巡る必要があるが、台紙の上では阿蘇くじゅうの風景が少しずつ形になり始めている。こうして一つ押すたびに絵が変わっていくと、残りのビジターセンターを訪ねる楽しみも自然とふくらんでくる。

ここにあるジオラマを見ながらこの日走ってきたルートを確認した。
画面や地図で見るだけでは分かりにくい阿蘇谷の広がりや、北外輪山を越えて菊池方面へ抜ける道の起伏が、立体になるとよく分かる。朝、道の駅阿蘇を出て、二重の峠を上り、林道を抜けて菊池渓谷へ向かい、そこからミルクロードを経て再び阿蘇谷へ下ってきた一日の流れが、ジオラマの上でひとつにつながって見えた。自転車で走っていると目の前の坂や風に意識が向きがちだが、こうして俯瞰して眺めると、ずいぶん大きな地形の中を巡ってきたのだとあらためて感じる。
ここにはスタッフの方がおられ、遊印めぐりでは外国の方が御朱印帳を持って来られることもあると話された。特に阿蘇火山博物館の阿蘇山上ビジターセンターでは海外の方に人気だという。日本を旅する中で、神社やお寺の御朱印と同じように、この国立公園の印にも関心を持たれるのだろう。スタンプラリーという気軽な企画でありながら、訪れた場所の記憶を一つずつ残していくという意味では、御朱印めぐりにも通じるものがあるのかもしれない。
今後の「阿蘇くじゅう遊印めぐりライド」は、9月6日(日)に阿蘇山上ビジターセンターと南阿蘇ビジターセンター、9月16日(水)に長者原ビジターセンターを訪ねる予定である。エントリーは、道の駅阿蘇のサイト内「イベント情報」からどうぞ。
最後にもうひとつ。8月29日放送の「FMK(エフエム熊本)」のラジオ番組「ゆっくりのんびりASO大陸(12:30~13:00」に出演し、この遊印めぐりライドを紹介することになった。阿蘇を案内して走るのはプロだが、人前で話すのはどうにも苦手である。「ツール・ド・沖縄」のスタート前より緊張しそうで、はたしてどうなることやら。それでも、阿蘇くじゅうを自転車で巡る楽しさが少しでも伝わるよう、頑張って話してこようと思う。
