コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました✨
チームで挑んだ集団戦と、「28位」の裏に隠された熱いドラマを紐解くレースレポート。
1周11.6kmの厳しい周回コースで開催された「おおいたアーバンクラシック」にて、地元チーム「スパークルおおいた」の楠本選手による序盤の果敢な逃げや、住吉・竹村両選手らによる仲間を救う追走劇の模様をレポート👀
ゲストカーからの視点も交えつつ、風よけや位置取りといったロードレースの奥深い戦術と集団内の駆け引きを分かりやすく解説📝
結果として阿曽圭佑選手が唯一の28位完走となったものの、数字の向こう側にある選手たちの奮闘と沿道からの熱い声援を描き、チームの絆とロードレースの真の魅力を伝える内容となりました。
ぜひご覧ください🎵
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Photo by sparkle oita
九州各地で開催されたツール・ド・九州をきっかけに、「自転車レースは迫力がある」「もう少し競技のことを知りたい」と感じた方もいらっしゃるのではないだろうか。
選手たちが集団で駆け抜ける姿は圧巻だが、その中で何が起きているのかは、沿道から眺めているだけでは分かりにくい。
一人の選手が最後に勝負するまでには、仲間の助けや、集団の中でのさまざまな駆け引きがある。
誰が前に出て、誰が力を温存するのか。
その動きを追うと、順位表だけでは分からないロードレースの面白さが見えてくる。
今回は、ツール・ド・九州に先立つ10月4日に開催された「おおいたアーバンクラシック ロードレース」を、地元・大分を拠点とするスパークルおおいたレーシングチームの戦いを通して振り返ってみたい。
先に結果を記すと、出場した6人のうち、完走したのは28位の阿曽圭佑選手(以下選手略)だけだった。
地元での活躍を期待していたファンにとっても、悔しさの残る結果である。
国内のほかのチームが上位に選手を送り込む中、スパークルは勝負に加わることができなかった。
その厳しさは、しっかりと受け止めたい。
それでも、最後まで声援を送り続けるファンの姿があった。
応援するチームだからこそ、結果とともに、そこに至る走りも見届けたい。
6人はどのような勝負を目指し、何がその行く手を阻んだのか。
この日の戦いをたどりながら、来季に向けて期待を寄せたいところも考えてみたい。

舞台は、大分スポーツ公園と周辺の住宅街を巡る1周11.6kmのコース。
緑豊かな公園内から家々が並ぶ街並みへと、選手たちは駆け抜けていく。
身近な風景の中で繰り広げられる国際レースだが、上り下りが繰り返されるコースは厳しい。
集団に食らいつくにも、前に出て勝負を仕掛けるにも力がいる。
さらにフィニッシュへ向かう上りが、最後の勝負を待ち受ける。
これを13周、150.8kmにわたって競う。
スパークルから出場したのは、黒枝咲哉、住吉宏太、阿曽圭佑、竹村拓、金井健翔、楠本颯太の6名。
地元チームとして優先的に最前列に並び、スタートを迎えた。
この6名の走りを追う前に、ロードレースの仕組みに少し触れておきたい。
自転車のロードレースは、個人の順位を競いながら、チームで協力して戦う競技でもある。
その大きな理由が、空気抵抗だ。
前を走る選手の後ろにつけば、直接風を受ける負担を減らせる。
仲間が風よけとなって先頭を走ることで、勝負を託された選手は力を温存できる。
ただし、集団の中にいれば楽というわけではない。
このコースは、小さな上り下りとカーブが続く。
集団の前方がカーブを抜けて加速するころ、後方ではまだ速度を落として曲がっていることもある。
そのたびに、前との間を詰めるために強くペダルを踏まなければならない。
同じ集団でも、どの位置を走るかによって、体力の消耗は違ってくるのだ。

Photo by sparkle oita
そんなレースで、スパークルは早い段階から動いた。
集団から抜け出し、先行することを、自転車レースでは「逃げ」と呼ぶ。
後続に追いつかれずに走り切れば、勝負は逃げた選手たちに絞られる。
一方、少人数で先頭を交代しながら風を受け持つため、集団で走るよりも一人ひとりの負担は大きい。
どこで抜け出し、誰と協力して走るかも、勝負を左右する。

チームの報告によると、序盤は黒枝や金井らが積極的に動き、楠本の仕掛けをきっかけに6人が先行した。
地元チームが、自ら好機をつかもうとした場面だった。
後日、楠本にそのときのことを尋ねると、「ここは逃げに行くべきと判断して飛び出したら、エース級の海外の選手が追ってきて驚きました」と振り返った。

自ら仕掛けてつかんだ機会だったが、力のある選手たちと走り続ける厳しさも待っていた。
楠本はカーブなどが続く区間で遅れ、レースは先行する5人を集団が追う展開となった。
スパークルは、再び集団の中で次の機会をうかがうことになる。

Photo by sparkle oita
しかし、追う集団の中でも、力を温存できる状況ばかりではなかった。
竹村が自身のレポートで振り返っているのが、序盤に集団が分かれ、阿曽、住吉、竹村が後方に取り残された場面だ。
前との間が開けば、それを埋めるためにペースを上げなければならない。
ようやく追いついても、そこで使った力は戻ってこない。
勝負どころに備えて残しておきたい体力が、こうした追走でも削られていく。

Photo by sparkle oita
ここで阿曽の呼びかけに応じ、竹村と住吉が前に立った。
他チームの協力も得ながら追走し、4周を終えるところで前の集団へ戻ることができたという。

Photo by sparkle oita
最後まで走り切った阿曽を、その途中で仲間が支えていた。
こうした働きは、順位表だけでは分からない。
ロードレースがチームで戦う競技でもあることを感じさせる場面だ。
レースが終盤に入ると、先行していた5人についに集団が追いついた。

これで仕切り直しとなり、各チームがゴールに向けて態勢を整えるのかと思えば、そうはいかない。
追いつくために力を使った直後は、さらにペースを上げて追うことが難しく、新たな逃げが生まれる機会にもなる。
次々と選手が仕掛け、今度は11人が前へ出た。

私は今回、ゲストカーに同乗させてもらい、レースの激しさを間近で体感した。
カーブの手前で強くブレーキをかけ、抜けると一気に加速する。
その繰り返しに、車内でも体が揺さぶられる。
目の前の選手たちは、この速度の変化に自分の脚で対応し続けているのだ。


Photo by sparkle oita
阿曽は11人の動きにすぐには加われなかった。
それでも、先頭を追おうとする選手に合わせて動き、追走に加わった。
逃げる側も追う側も、選手同士で交代しながら先頭を走れば、風を受ける負担を分け合える。

Photo by sparkle oita
ただし、所属するチームも、残っている力も違う選手たちが、いつもうまく協力できるとは限らない。
前の集団が速度を保つ一方、阿曽のいる追走側はペースが安定せず、その差を縮められなかった。
優勝争いは、11人からさらに絞られた10人の勝負となり、リーニン・スターのエドゥアルド・セプルベダが最後の上りで競り勝った。
スパークルは、その争いに選手を送り込むことができなかった。
阿曽は追走に力を使いながらも走り切り、28位でフィニッシュした。

Photo by sparkle oita
地元で上位争いに加われず、完走も6人中1人。
選手たちにも、応援する側にも、悔しさの残る結果だった。
それでも、レースの経過をたどると、28位という数字の向こうに、そこへ至るまでのチームの戦いが見えてくる。
黒枝や金井が序盤から動き、楠本が先頭へ飛び出した。
住吉と竹村が仲間を前の集団へ戻すために走り、阿曽が最後まで上位への道を探った。
その一つひとつを知ることで、沿道から見ていたレースの景色も変わってくる。

そして、その走りを支える声援があった。
スパークルには、各地の大会へ足を運ぶ熱心なファンがいる。
この日もフィニッシュ手前には、選手の名前を記した応援のぼりが並び、その周りから声援が送られていた。
大きな応援旗を振り続ける人、太鼓を鳴らす人。
姫野さんも、おなじみのTレックスの被り物姿で応援に加わっていた。

Photo by sparkle oita
勝負の行方が厳しくなっても、最後まで選手を迎える声があった。
来季、この地元の声援の中で、勝負を決める集団にスパークルの選手が残っていてほしい。
今回見せた積極的な仕掛けや仲間を支える走りが、上位争いにつながることを期待したい。

ツール・ド・九州で自転車レースに興味を持たれた方は、次に観戦するとき、集団から飛び出す選手や、仲間のために前を走る選手にも目を向けてみてほしい。
「なぜ今、あの選手が動いたのだろう」。
そんな小さな疑問から、レースを見る楽しみは広がっていく。

Photo by sparkle oita
九州には、地元の声援を受けながら世界の選手たちに挑むチームがある。
私もその走りを見届けながら、スパークルおおいたを応援し続けたい。
今回のレポートは、序盤から終盤への展開と優勝争いはシクロワイヤードの大会記事、竹村選手の働きを補う資料は本人レースレポート、そしてスパークル公式レポートを参考資料としました。
