コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「カルデラ湖に浮かぶ3つの島と岸部だった外輪山に再現された桟橋」

道の駅サイクルアドバイザーの「コルナゴ部長」こと中尾公一さんからサイクリングレポートが届きました。今回は、「カルデラ湖に浮かぶ3つの島と岸部だった外輪山に再現された桟橋」です。

阿蘇駅の北西、「農村公園あぴか」の南側に位置し、阿蘇谷の平坦面から突出する小さな3つの山体である本塚(574m)・北塚(552m)・灰塚(520m)を総称して本塚火山と呼び、現在も噴煙を上げ火山活動を続ける中岳と同じく約4万年前に活動した火山である。3つの塚の下の部分には水中溶岩があり、高い所には通常の陸上溶岩があることから阿蘇谷が一時期、湖であったことを示す重要な証拠であり、本塚・北塚・灰塚はカルデラ湖に浮かぶ3つの島だったのかも知れない。

 

現在、本塚はアクティビティ事業を提供する阿蘇ネイチャーランドが管理者である牧野組合から借り受け、パラグライダーなどのフィールドとして使われている。農業資源である牧野を観光資源として30年前活用している先駆けである。野焼きされた標高550mの小高い山は、自転車で活用するのも魅力的であることから、道の駅阿蘇が阿蘇ネイチャーランドへ牧野ガイドの案内を条件に立ち入り許可を取り、牧野保全料として1人500円を払い草原維持に協力しながら楽しめるようにしている。

本塚から5キロ北西の内牧温泉の西側に小高い田子山(653m)があり、頂上には雲海に浮かぶ桟橋という意から「そらふねの桟橋」という景色を見せるというより物語を魅せる展望公園が昨年8月作られた。この雲海を海に見立てた船着場は、近くに「舟着石」や「波乗り観音」と呼ばれる石画もあり単なる空絵事ではないように思われる。

 

旧石器時代のこの地域の遺跡は、外輪山上部に分布しており、当時カルデラ湖が存在していたためだと考えられている。縄文時代になると、外輪山上部からカルデラ内斜面の中腹部に遺跡が分布しており、人々が気候の温暖化やカルデラ湖の水位の低下を受けて、生活圏を広げたためであると考えられている。田子山から6kmの大観峰の東にある平原古墳群は、外輪山の中腹の標高約510mにあり、東西60m、南北65mという熊本でも最大の規模の古墳で多くの土器や壺形の埴輪など出土している。このようなことから、外輪山の中腹にある田子山はカルデラ湖の岸辺だった可能性は現実的だ。「そらふねの桟橋」は、雄大な阿蘇の風景を見せる桟橋であり、カルデラ湖へ舟出する桟橋という時間の厚みを凝縮した夢のあるものだ。

ということで、本塚と田子山のヒルクライムのあとは、山越えしないルートになる新阿蘇大橋を南阿蘇側から眺めて南郷谷に入り、クライマックスは牧野道の峠道はこうあるべきという高森の小倉原牧野へ上る88kmのライドの紹介だ。写真は4月15日からロードやe-MTBで3回試走したのを使用するので天候や新緑のコントラスト、それにモデルが異なる。

阿蘇駅には毎週水曜日の朝630分からクルーズトレイン「ななつ星」が停車している。930分くらいからエンジンを搭載した車両の気動車と客車の連結シーンが見どころで、10時くらいに「ファーン」というななつ星独特の汽笛を鳴らして阿蘇駅を発車している。この日は鉄道ファンに混じり地元の幼稚園児が見学に来ていた。園児が手を振るとほとんどの乗客が応えてくれるので写真を撮るにはとても都合がいい。

正面の小高い丘が本塚

道の駅阿蘇をスタートしてしばらくすると軽いグラベルとなる。よって参加される方にはグラベル走行が可能かの確認が必要になる。本塚の上り初めは荒れたコンクリート道で勾配がキツくなったら山肌の土のグラベルが頂上まで続いている。

頂上までの距離は480m。歩けば草原の道なのでピクニック気分だが、壁のような急勾配に挑戦するのが面白くていつも笑いに包まれる。e-MTBなら初心者でも上れるが、ロードバイクの場合は後輪が空転してまだ上れた人は見たことがない。

この傾斜・・・

VC福岡のKさんのデーターによると平均勾配12%、最大勾配26%!

この日、Kさんは途中で断念されたが次回は空気圧をさげて挑戦されるらしい。ちなみに町古閑牧野での草原ライドでは、尾根の急傾斜が無数にあるが、立会人のもと最初に上った人の名前がその坂の名称にしている

本塚の頂上からの眺めは、360度見渡す限りの畑の先に屏風のような外輪山に覆われている。いつも目で見る景色だけだったが、その昔、カルデラ湖だった頃を想像すると、今ここが一面の湖水に浮かぶ島であり、北西の外輪山から一段低くなった田子山の桟橋には、舟を漕いで行っていたのだろう。目を細めるとそんな光景が見に浮かび、風の音がさざ波に聞こえてくる。

では下ろう。

最後にYouTubeの動画を掲載

砂利程度なので普通のロード、普通のタイヤ、リムブレーキで大丈夫。
でも自転車に傷をぜったい付けたくない人はやめたがいい。

本塚の近くに豊肥線があり、通る列車に手を振ると汽笛を鳴らしてくれる。この日は特急「あそぼーい!」が応えてくれた。

内牧温泉に着くと「阿蘇MTBパーク」を1、2周するのがこのライドのキモ。

ロードバイクでもそれなりに楽しめて笑顔になれる。このあと「いまきん食堂」のあか牛丼に並ぶ行列を眺めて田子山へ。

内牧温泉の西側にある向ノ平集会場が「そらふねの桟橋」の入口。車1台の道幅。頂上まで1kmの上り。最大斜度は多分20%はあると思う。途中から荒れたセメント道になるがロードバイクで上ることができる。道幅が狭いので車が来たら必ず自転車から降りよう。

途中要所に頂上までの距離と車が離合できるところまでの距離を示す看板がある。
ここから左に300m行けば「波乗観音」があるらしい。

とても優しい心使い。
「がんばれ!」という看板もあった。

厳しい坂が続くが我慢の1km。
わたしと下城さんと40代の女性は足を付かずに上れた。半分まで上れた女性と、もう少しというところで立ちごけしそうになって降りた女性の計5名が今まで一緒に挑戦している。勾配があるので足を付いたらまた上りだすのは難しいかも知れない。自信がない方はクリートカバー持参のこと。

駐車場(100円)へ到着、サドルラックも立派なトイレも完備。

駐車場からは徒歩で600m。

視界が開けてくると阿蘇谷を眺める展望スポット付きカフェ!

カフェの展望所から「そらふねの桟橋」を見る。

田子山頂上へ到着、と同時に歓声が沸き起こる。

まさに「そらふねの桟橋」

桟橋の先に見える小高い山が本塚

ここはテンションが上がった時間が長く続く。
「凄いね、いいね、最高ね・・・」

カフェを見下ろす。
田子山公園は弁当持ってランチにも最適、次回はそうしよう。

歩きの方は登山道を利用される方が多いが、車やバイクが通る向ノ平集会場からも来られるので下りは要注意だ。急坂で路面が悪いので最徐行で下ろう。車が来たら必ず自転車を降りて道路端へ。路面が濡れている場合や自信がない方は押し歩きが無難。リムブレーキの私は途中で手がこわばったので握力のない女性の方は途中で休憩することを勧める。

 

 

 

赤水から東海大学阿蘇キャンパスの学生が住んでいた下宿やアパート多い地区を抜けて南阿蘇橋から新阿蘇大橋に向かった。この道は車が少ないので自転車で行くにはおすすめだ。

新阿蘇大橋の南阿蘇側駐車場に着いたら、自転車は来た道と325号が交差する防護柵に停めている。ここだと車にも歩行者にも迷惑が掛からないし安全でもある。以前は道路に横断歩道があったのでヨ・ミュール展望所へ行けたが、渋滞緩和のために現在横断歩道はなく橋の下の階段を下りて行くしかない。

ビンディングシューズはちょっと大変。
展望所のトイレは混んでいるし補給も兼ねたいなら325号で1.8km先にファミリーマートがある。

私たちがよく行くのは4.7km先にあるイートインのパン屋「パンダイゴ」。バイクラックもあるしトイレも貸してくれる。店の外にある屋根付きのテーブルで好みのパンを食べるのが定番だ。オーナーが自転車乗りに優しくて、私たちが訪ねる際にはピッチャーに冷たい水という極上のサービスもありボトルの補給も氷付きで出来る。

土産にはこれ、「新阿蘇大橋開通記念バケット」1000分の1縮小の52.5cm。ジャージのポケットに差して持って帰った女性が過去2名あり。

補給が済んだらゆっくりと南阿蘇らしい農道を楽しもう。車が少なく広々とした景色がとっても心地よい。

この日は田植えが始まっていた。

南阿蘇鉄道沿いを走るので、遮断機が鳴り始めたら急いで行くと、トロッコ列車の写真が撮れる。

阿蘇白川駅でもトロッコ列車に遭遇
駅舎カフェ「セブンティ・フィフス・ストリート」のお母さんも店を飛び出して、列車からマイク片手に降りてきた車掌さんから紹介され、お客さんに笑顔を振りまくサービス。
そして、阿蘇白川駅の駅長さんの紹介も始まった。

帽子が可愛い駅長さん。
南阿蘇鉄道の観光トロッコ列車は、高森駅から見晴台駅、南阿蘇白川水源駅、阿蘇白川駅、中松駅までの7.1kmを土日祝日に、このような地域のみなさんの協力により1日4往復している。2023年立野駅までの全線開通まで応援していきたい。

のんびりと農道を走って

橋がないので
Across the River and into the Trees

安息の地、小倉原牧野へ

小倉原牧野の入口は、265号沿いの「ペンションくりーむはうす」の前にあり、荒れたセメント道が続き車はまず通らない。近くに九州自然歩道があるので、たまにトレッキングの人と出会うことがあって、「まさかこんな山の奥で」とお互いとびっくりすることがある。車が来ないので、人も自転車も無防備なっているため、下る場合は十分と注意が必要だ。

牧野道の先は212号(津留柳線)の矢津田御霊神社の横に出て距離は8.1kmになる。小倉原牧野道としては、2カ所目の牛止めまでになり4.3km・平均勾配6.3%、以降は212号まで下り基調になる。

4.0km地点にある展望所、「そらふねの桟橋」と同じく素晴らしいところだが、名称については横並び意識が残念。ここから展望スポットまで細かい砂利の急な下り坂なので、自転車はここに置くか押して行こう。

展望所側から見た急坂。最初来た時、ここもセメント道と思って自転車に乗ったまま降りたら前転しそうになった。降り始めすぐに「砂利だ!」と気付き、ブレーキ掛けたがタイヤがフカフカの細かい砂利に埋もれて止まらず、ロックしたまま難を逃れた。

小倉原展望所(4/14撮影)野焼きの雰囲気がまだ感じられる。
ここもテンションが上がった時間が長く続く。

4月14日撮影

4月27日撮影、野焼きの跡と新緑が心地よい。

5月2日撮影、雨 強風 気温8度

4.3km平均勾配6.3%、小倉原牧野はそんなにきつくない。車もバイクも来ない静けさ、家も建物も看板も標識もない牧野の峠道らしさ、阿蘇五岳の横顔を谷から見下ろすような景観、遠くに「らくだ山」も眺められるし、自転車乗りで貸し切り気分になれるいい峠道だ。そこに、まさかの立派な展望所ができるとは思いもしなかった。

昨年、橋本君と下城さんと高森方面の調査に行った際ここにも立ち入った。その時には樹々に覆われて視界が妨げられていた。国道212号の内牧温泉から大観峰方面に上ったところにある山田展望所のようだった。山田展望所は数年前に視界を閉ざしていた植林を伐採したら阿蘇五岳が眺められる本来の展望所が復活した。小倉原牧野も昔の眺めを地元の方の取り組みによって再現され自転車乗りに提供されている。このような思いに感謝するために、私たちにできることは、事故を避けなければならないことだろう。
つづら折りのこの峠道を眺めていると、多くの人が上ってくる息づかいが聞こえてきそうだ。その日が来るまで楽しみにしておきたい。

『何かを思い出すように、しばらくまた手のひらで顎髭を撫でていた。そして言った。「フランツ・カフカは坂道を愛していた。あらゆる坂に心を惹かれた。急な坂道の途中に建っている家屋を眺めるのが好きだった。道ばたに座って、何時間もただじっとそういう家を眺めておったぜ。飽きもせずに、首を曲げたりまっすぐにしたりしながらな。なにかと変なやつだった。』 村上春樹著『騎士団長殺し』より

フランツ・カフカのことは村上春樹さんのつくり話だけど、坂道を愛する変な人にとっては、本塚・そらふねの桟橋・小倉原牧野は、心を惹かれる坂道になるかも知れない。個性的な志向を満たすサイクルスポーツ、有事の自転車はこれからのキックオフにちょうどいい。

 

 

 

☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆

 

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