コルナゴ部長こと中尾公一さん最新レポート「夏の小国郷を巡る、阿蘇満喫グラベルライド」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました✨

杉林の秘境と鉄道遺構、激坂を乗り越え小国郷の魅力を五感で味わうワイルドグラベル。

地元おこし協力隊の上野さんナビゲートのもと、杉林の林道や旧国鉄宮原線の隧道・橋梁といった歴史遺構、名物の激坂「奴留湯の壁」などの変化に富む小国郷の未舗装路を走破🚲💨

道中では臨機応変なコース変更やドクター・地元カフェの連携によるトラブル対応にも救われ、「あかり食堂」の麹尽くしランチや「遊水峡」での涼、ゴール後の名物ソフトクリームを堪能🍦

個性あふれるバイクとともに、杉の木漏れ日と未舗装路の冒険、そして地域の人々の温かいサポートと食を存分に満喫する、笑顔と一体感に満ちた一日となりました🤩

ぜひご覧ください🎵

 

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まだまだ猛暑が続く8月30日、小国町地域おこし協力隊の上野幸紀さんにコースを組んでもらい、「夏の小国郷を巡る、阿蘇満喫グラベルライド」を小国町役場に集合して開催した。小国といえば、町を囲むように広がる杉山だ。舗装路から一本脇へ入れば、林道や作業道が縦横に延び、グラベルライドには格好のフィールドが広がっている。

 

かつてMTBの日本シリーズも開催されていた土地だけに、山の中には「ここを自転車で走ったら面白そうだ」と思わせる道が、文字どおり山ほどある。ただし、その道を実際に通ってよいのかどうかは、地元をよく知る人でなければ分からない。そこで、小国観光協会に勤務し、地元にも顔が利く上野さんにプロデュースをお願いした。

 

小国を知り尽くした上野さんが引いたコースとあって、この日は定員いっぱいの20名が集合。先頭で案内するのは上野さん、グループの中に下城さんと私、最後尾には牧野ガイドでフォトグラファーのショウ君こと釜崎笙さんがが担当し、それぞれトランシーバーで連絡を取りながらのサポートとなる。また、このレポートの写真はショウ君と山岳フォトグラファーの平野篤さんから多く提供していただいた。

 

スタート直後、参加者を待ち受けていたのは、いきなり路面に滑り止めの溝が刻まれた、いかにも山里らしいコンクリート道の激坂だった。

「最初からこれですか!」と思わず声が出そうになるほどの勾配に、一気に目を覚まされる。心拍は跳ね上がり、全身から汗が噴き出した。何とか上り切ったが、しばらく息が落ちつかなかった。距離833m、獲得標高70m、最大勾配17.9%、平均勾配8.4%という、短いながらも強烈な上りだった。

 

そこからはいよいよ林道へ。

 

小国らしいしっとりとした杉林を進んでいると、杉が伐採され視界が開けて別世界になった。するとウェットぽい道が乾燥した滑りやすい路面になり、土煙を巻き上げながら疾走していくのが絵になった。

 

アップダウンを繰り返しながらグラベルを楽しんでいると、前方から何やら作業の気配が漂ってきた。近づいてみると、ちょうど杉の伐採作業の真っ最中。予定していたルートは、その先へ進むのが難しい状況だった。

 

通常であればここで「さて、どうしよう」と足が止まるところだが、そこは地元をよく知る上野さん。すぐに状況を判断し、別ルートへとコースを切り替えることになった。

さらに心強かったのが、一緒に参加していた本田さんだ。地元で建設業を営み、小国の山道を熟知している方である。上野さんと本田さん、二人の地元ナビゲーターのおかげで、予定外の出来事さえも小国郷ライドの楽しみのひとつへと変わっていった。

 

決められたルートをたどるだけではない。

道の状況、参加者の状態を見ながら、「それなら、こっちへ行ってみよう」と柔軟に進路を選んでいく。そんな臨機応変さもまた、小国の山を知る人たちと一緒に走るグラベルライドならではの醍醐味だった。

 

小国を走るなら、外せないのが旧国鉄宮原線の鉄道遺構。

かつて列車が走った路線には、今もトンネルや橋梁が残り、その一部を自転車で辿ることができる。遊歩道になっているので車はいないから安心の上、美しい緑の森林浴も心地良い。

 

なかでも面白いのが、未舗装のトンネルだ。一歩入れば、外の明るさから一転して暗闇の世界へ。ライトを点灯していても、路面には浮石がゴロゴロ転がっているので、ハンドルを取られてライトの光は肝心な方向を照らしてくれない。タイヤが石を弾く音、時折「カーン」とホイールに当たる音がトンネルの中に響く。

 

暗い、見えない、走りにくい。でも、それが楽しい。舗装路では味わえない、ちょっとした探検気分だ。そして暗いトンネルを抜けると、今度は一気に視界が開けるところも変化があって楽しい。

 

橋梁の上では風が通り抜け、眼下には小国の山里。さらに目を上げれば、「小国富士」とも呼ばれる涌蓋山(わいたさん)の美しい姿が。暗闇と光、ゴツゴツした路面と開放的な橋の上。その変化を自転車でひとつずつ体感できるのが、旧宮原線を走るグラベルライドの魅力だ。

 

列車が走らなくなった線路跡を、今度は自転車で走る。鉄道の記憶と小国の風景が重なるこの道は、走って面白く、そして何より写真映えする小国ならではのグラベルルート、もちろん上野さんはここを外さなかった。

 

 

宮原線を上って北里柴三郎記念館がある北里駅の集合写真。

 

昼食まで時間があったため、希望者はオプションで遊水峡へ向かうことになった。

ただ、遊水峡へ行くには勾配のある長い下りがあり、当然ながら帰りにはその分を上り返さなければならない。そこで、上り返しを避けたい人は食事処へ向かい、昼食の時間まで待つことにした。もちろん私は迷わず食事処組を選んだのだが、参加者の女性3名はみなさん遊水峡へ。いやはや、皆さんたくましい。

 

まだまだ暑さの残る日だったので、遊水峡へ向かった皆さんはしっかりクールダウンできたようだ。ここは岩盤の上を川が流れているので水遊びが面白い。筑後川の源流域 涌蓋山の裾野の湧水を集めて流れる宇土谷川の川辺に位置するキャンプ場で川遊び等の避暑地としても有名だ。

 

キャンプ泊にした友人は、「自分の経験に中で一番のキャンプ場だ」と絶賛して、聞けば聞くほど魅力的のようだ。キャンプスタイルのグラベルバイクの方は、テント持参で来られるといいかも知れない。

 

Created with RNI Films app. Profile ‘Kodak Portra 160’

昼食は、旧西里小学校を改修した施設「NISHIZATO TERAS」内にある、あかり食堂へ。ここは小国町のSDGs推進施設として位置付けられており、サテライトオフィスやコワーキングスペース、シェアキッチンなどを備えた、地域内外の交流を促す拠点でもある。

小国では、まとまった人数で予約できる食事処が決して多くない。その中で、今回のような20名規模のグループにも対応してくれるあかり食堂は、ライドイベントにとってとてもありがたい存在だった。

 

料理は2種類から選ぶ事前予約制だった。

私が選んだのは「豚バラとナスの辛味噌炒め(キムチ麹)」。ピリッとした辛さが豚バラの旨みとよく合い、ご飯が進む味だった

 

これに小鉢として、冷やしトマトの香味麹だれ(香味麹)、鶏とたまごの親子サラダ(塩麹)、小国大根のカクテキ(キムチ麹)が付く。ご飯は、小国米を使ったとうもろこしご飯(とうもろこし麹)。かなりのボリュームがありながら、全体にやさしい味付けで、この後の走行に影響しない昼食だった。

 

汁物は香味スープ(香味麹)、デザートは立岩水源の珈琲ゼリー。

 

 

こちらは、サーモンのムニエル(塩レモン麹)、小鉢等は同じになる。

冷たい水をボトルに補給できて、これで1,500円。品数もボリュームも十分で、ライド途中の昼食としてはかなり満足度が高い。

食事会場は、クーラーの効いた貸し切りの音楽室。涼しい室内でゆっくりくつろぐことができ、ついつい長居をしてしまった。

 

午後からは厳しい上りがあるそうだ。

本田さんが、喩えると国造神社の上りみたいな感じと話された。

 

昼食を終えて走り出すと、しばらくは小国らしい杉山の穏やかな道が続く。

高く伸びた杉が陽射しをやわらかく遮り、森の湿り気を含んだ空気が心地いい。暑さを忘れさせてくれるような木陰の道を、ゆっくりと奥へ、奥へ。

 

山頭火の句に「分け入っても分け入っても青い山」とあるが、まさにそんな気分になる。走っても走っても杉、また杉。どこまで行っても緑の中だ。

このままいつまでも続いてほしい——。

 

そう思わせる穏やかな道だったが、その先には、分け入りたくないこの日のライドでも指折りの激坂が待っていた。

 

「分け入っても分け入っても青い山」——そんな山頭火の世界のような、心地よい小国杉の道。しかし、そんな余韻に浸っていられたのも、ぬるめ湯からその名が付いた奴留湯(ぬるゆ)温泉までだった。共同浴場の先からファームロードへとつながる道は、距離約2km、獲得標高172m。平均勾配8.4%、そして最大勾配は17.9%。数字だけでも十分に嫌な予感がするが、実際に上ってみると、もっと嫌になる(笑)。

 

見上げるような坂の先の先まで見えて愕然とする、それまで聞こえていた会話はいつしか消え、聞こえるのはタイヤが路面を噛む音と荒い息づかいだけ。

立ち漕ぎで踏む人、サドルの上でじっと耐える人、前だけを見て黙々と進む人。それぞれの「苦しみ方」で坂と向き合う。

 

写真を見ると、その必死さがよく分かる。

わずか2km。

されど2km。

昼食後の満たされたお腹には、少々刺激が強すぎる小国からのおもてなしだった。

 

この坂をこう名付ける「奴留湯の壁」

奴留湯はぬるいが、坂はぬるくない。

 

坂を上り切って待っていると、ショウ君のトランシーバーから連絡が入った。

「1名、熱中症気味の方がおられて休憩しています。体を冷やしたいので、どなたか氷を持っている方はいませんか」

しかし、この暑さの中を走ってきた後で、誰のボトルにも氷は残っていない。そこで本田さんが、近くのカフェ「BEAR」に電話をしてくれた。すると、オーナーのジョージさんがすぐに氷と水を用意し、車で駆け付けてくれた。

 

さらにその時、参加者のひとりが「僕、医者ですから診に行きます」と言って、坂を下っていった。このグラベルライドには何度も参加されていた方だったが、お医者さんだとは知らなかった。

ジョージさんが届けてくれた氷と水、そしてドクターの診察のおかげで、熱中症気味だった方は無事に落ち着いた。その後は、ショウ君の案内でドクターも付き添いながら、集合場所へ向かわれた。

 

3人が無事にスタートしたのを確認して、私たちも帰路に向かった。ファームロードを横断すると、気持ちのいい下り基調のグラベルが続く。ところどころ路面が荒れていて、どちらかといえばMTB向きのコースだったが、それもまた小国らしいワイルドさだった。

苦しい「奴留湯の壁」を越えたからこそ、その後の下りは格別だった。この日いちばんの解放感を味わいながら、最後のグラベルを楽しんだ。

 

 

 

 

 

そして小国郷グラベルライドのゴールは、小国の街なかにあり上野さんおすすめの「デイリーマンズカフェ79」へ。広々とした店内に自転車を降りた面々が集まり、解散式のお供は名物のソフトクリーム。ひと口食べると、あちこちから「うまっ!」「これ、今まで食べた中で一番かも」の声が上がった。そうこうしているとショウ君たち一行も合流して和気あいあいの最後となった。最大勾配17.9%の記憶も、このソフトクリームの前ではすっかり溶けてなくなった。苦い上りのあとには、甘いゴールが待っている。だからグラベルライドはやめられない

 

今回はいろんなバイクが集まったので紹介しよう。

グラベルライドのもうひとつの楽しみが、参加者それぞれのバイクを見ること。ロードバイクなら「軽さ」や「速さ」がひとつの物差しになるが、アメリカ生まれのグラベルバイクはもっと自由だ。

 

メカにとことんこだわる人。フレームやパーツの色を合わせて見た目を楽しむ人。フレームバッグやサドルバッグなど、いろんなバッグを取り付けて「どこまで旅に行くんですか?」という人もいれば、余計なものは極力付けず、徹底的に速さを追求したレーシーな一台もある。

 

走行性能より見た目優先。走行性能より見た目優先。それも大いにアリ。

逆に「そのパーツ、本当にグラベルに必要ですか?」と聞きたくなるようなこだわりも、本人にとっては大切な理由があるだろう。

 

Created with RNI Films app. Profile ‘Kodak Portra 160’

今回集まった20名のバイクを眺めていると、同じ「グラベルバイク」という名前で括るのがもったいないほど、それぞれに個性があった。

速く走りたい人も、山の中をのんびり楽しみたい人も、荷物を積んで旅をしたい人も、とにかく格好いい自転車に乗りたい人もいる。

 

正解がひとつじゃないから面白い。

自分の遊び方に合わせて、自転車を少しずつ自分仕様に育てていく。そして、そんな個性豊かなバイクが杉林のグラベルに集まって、一緒に泥や埃をかぶりながら走る。これもまた、グラベルライドの楽しさなのだ。

 

最後に、今回参加されていた美並さんご夫妻から、九州シクロクロスのフライヤーをいただいた。ご夫妻は九州シクロ実行委員会を立ち上げられ、奥さんが代表を務められているそうだ。(Instagram 九州クロス)

 

シクロクロスの大会は、以前に百道で一度だけ見たことがある程度で、正直なところ知識はほとんどない。それでもご夫妻から「とにかく一度、足を運んでみてください」と声をかけていただき、少し興味が湧いてきた。

 

フライヤーによると、九州シクロクロスの公式練習会は、集合後のコース設営から始まる。午前中はシクロクロスの基本練習を行い、昼は持ち寄った昼食を囲んで交流タイム。午後からは課題別練習や模擬レースを行い、片付けをして解散という流れだそうだ。

 

参加する自転車はシクロクロスバイクに限らず、マウンテンバイクやグラベルバイクでも可能とのこと。何事も、やってみないと分からない。阿蘇満喫ライドの一環として、まずは一度参加してみようと思っている。海岸線を走る機会などなかなかないので、いつもの山のグラベルとは違う、新しい自転車遊びに出会えるかもしれない。

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