阿蘇のお米を早霜から守るために始まった、阿蘇の農耕祭事の一つ「火焚神事」が今年も8月19日から始まります。
鬼八と的石の話
健磐龍命は弓の達人で、往生岳に腰をおろし、北外輪山の大きな石(的石)に向かって毎日100本の矢を放っていました。矢取りを命じられたのは家来の鬼八。命が1本矢を放つごとに外輪山の的石まで取りに行き、命へお届けし、また放たれた矢を外輪山に取りに行って・・・という作業を続けていましたが、ある日、1本ずつお届けするのが面倒になり、とうとう鬼八は命の放った矢を足で蹴り返してしまいました。それを見た命はご立腹され、鬼八を追うことにし、宮崎県の高千穂まで追いつ、追われつ命は鬼八を斬りつけました。しかし鬼八の首や胴は斬ってもまた元通りになるので、命はとうとう、首や胴や手足をバラバラにして埋め、ようやく鬼八を退治することができました。その時鬼八は、「阿蘇谷に霜を降らし、この怨みを晴らしてやる・・・」と言い残して命絶えたそうです。
そのためか阿蘇地方では、時ならぬときに雪や霜が降り里人たちは大変困りました。それを見た命は「鬼八よ、お前を神として祀るからどうかゆるしておくれ・・・」というと「斬られたところが痛むから温めてほしい」と頼まれたそうです。そこで命は阿蘇谷の中心に霜宮を建立し、毎年8月19日から59日間火焚殿に鬼八のご神体を移し、火を絶やさないように焚き続けるという「火焚神事」が始まります。