コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました。
出発時は秋風を感じ、心地よくなったこの日。
どのようなコースで周り満喫されたのでしょうか?
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Photo by Jyoonji
黄金色になった阿蘇谷では稲刈りが始まり、コスモス、彼岸花、そばの花がやっと見頃を迎え秋の景色に移り変わってきた。そんな9月21日の阿蘇満喫グラベルライドは、田んぼ道をつないで小嵐山を上り、合戦群(かしのむれ)の草原グラベルと、パリルーベのアランベールのような難易度の満願寺グラベル、そして、そば街道から大観峰麓の浮石が連続する小倉林道という愉快で刺激的、まさに痛快無比なグラベルライドを楽しんできた。
この幸運なライドに集まったメンバーは、日々シェイクダウンの愛車で走る悪路への期待に微笑みが止まらない9名と、ブリーフィングまで参加したフルカーボン製ベビーカーに乗った井上君とミユキさんの孫ちゃんだ。
Photo by Jyoonji
スタートすると後ろから弾んだ声が聞こえた。
いい景色と風を切る涼しさ、
それに久し振りの仲間と、初めての仲間との出会いかな、
後ろを振り向かないでもきっと口角が上がった笑顔だろう。
Photo by Jyoonji
全容を隠す高岳は、まるで光の魔術師レンブラント風にも見えて、勇壮な姿に思わず最初の集合写真になった。
Photo by Jyoonji
少し走りだして、
Photo by Jyoonji
今度は大観峰バックに一枚
紹介が遅れたが、こんな素敵な写真を撮ってくれたのは、ミラーレス一眼を背中に走る城音寺(Jyoonji)さんだ。やはりスマホとは違う画質、拡大したときの画像の粗さも目立つことがなく、逆光や暗いところでも表現力は格段に違う。
Photo by Jyoonji
この季節の田んぼ道は、熟れた稲を刈り取った後の匂いが懐かしい。でもまだ多くは頭を垂れる稲穂が広がる。そんな景色を眺めながらのポタリングもいいが、時に風を切って走るのも実に楽しい。
Photo by Jyoonji
平和な田んぼ道の次は小嵐山の上りになる。
最初は樹々に囲まれて見晴らしのいいところまでが4km +287m、そこから草原景観の道になりミルクロードまで3.9kmの距離7.9km+372mの峠道になる。その間、ミルクロード沿いの牧場以外な何もない阿蘇市道なのでツール・ド・九州のコースになればいいなと秘かに期待している。
ここまでが4km、あとの3.9kmは緩やかなアップダウンになる。
Photo by Jyoonji
それにしても朝一の上りはきついが、爽やかな風といい眺めが待っているので北外輪山越えには一番多く使う峠道だ。
Photo by Jyoonji
農耕車両がたまに通る草原の道にはアナグマと鹿が多い。
Photo by Jyoonji
Photo by Jyoonji
ミルクロードをアンダーパスしたら合戦群(かしのむれ)の道になる。
天正12年(1584年)から天正13年(1585年)にかけて、肥後国(現在の熊本県)で繰り広げられた島津氏と阿蘇氏の戦いが「阿蘇合戦」、それが合戦群の地名の由来なのか。ミルクロードからこの道の入口には「合戦群入口」の手書きの案内板があり、40号に出たところにある橋は「合戦群橋」の名前になっているが「群」とは何なのだろうか。
AIは『「かしのむれ」は、古文や和歌において使われる表現で、特に「式子内親王」に関連しています。式子内親王は鎌倉時代の女流歌人であり、彼女の和歌は恋愛や孤独をテーマにした作品が多く、特に「忍ぶ恋」を歌った作品が特徴です。彼女の歌は、秘めた恋心を表現し、深い感情を込めています』 違うな。
Photo by Jyoonji
この道の途中からがグラベルの入口になる。
Photo by Jyoonji
最高にスリルがあるアップダウンの草原グラベルだ。
Photo by Jyoonji
Photo by Jyoonji
MTBに熟知されている本田さんは、荒れた道になると腰を浮かし衝撃を逃がして、腕と膝もリラックスし目線がぶれないようにされていた。
Photo by Jyoonji
九重連山が見える小高いところで一息
Photo by Jyoonji
井さんの愛車は、グラベルバイクとMTBをミックスしたフロントサス付きになっており、今回はドロッパーシートが取り付けられていた。このように自分の好みに改造していくのもグラベルバイクの楽しみだ。
Photo by Jyoonji
肘と膝をプロテクターでガードした緒方さんはMTBで参加された。先代からのGINRINメンバーなのでかなり強く、重いMTBでもグラベルバイクに遅れることはなかった。
Photo by Jyoonji
下城さんはCANYONのMTBのフレームだけ残して改造、タフ過ぎるフロントサスがワイルドだ。
Photo by Jyoonji
草原グラベルから荒れた山道の下りになるとかなりの難易度になる。そこでフロントサス付きのバイクが断然優位になるので3人に先頭を走ってもらった。途中の雨水でV字にえぐれた砂利や、ぬかるみの泥では、グラベルバイクの方数名が罠にはまり立ちゴケされたようだ。
40号に合流したら立岩水源からセメントの激坂を1.3km上り、4kmのかなり荒れた道を下る今回のメインとなるグラベルに向かった。
かなり荒れたグラベルと、たまに枝や石が転がるコンクリ道の下りなので写真はないが、今まで走ったグラベルの中でも、「最高に楽しい=スリル」がある4kmだった。下りに慣れた後半に一名落車されたが擦過傷で済んだ。
スピードの出し過ぎとタイヤの空気圧が高いのが原因で緩い曲がりの浮いた砂利に前輪が滑っての落車だった。その人の空気圧は3.5barくらいじゃないかと思ったが、チューブレスの人は2.0bar程度でグリップ力が断然違う。私もまだクリンチャーなので2.8barで他人ごとではない。
しかし、谷など危険なところは慎重に走る。グラベルでは怪我しても骨折程度だが、舗装路での車との事故は命にかかわる。それも何の過失もないのに鉄の塊に跳ねられるわけだからたまったものではない。
こちらはビロード絨毯のようなおとなしいところ
先頭を走った下城さんのヘルメットに付いた蜘蛛の巣が山道の激しさを物語る。
緒方さんの背中もこの通り
Photo by Jyoonji
グラベルバイクだとこのような専用のマッドガードを装着できるので背中を汚す勲章はない。
ちなみに私のはASS SAVERS ( アス セイバー ) のクリップオン式グラベルマッドガードでタイヤすれすれが効果があり調整が可能なタイプ。
続いて手掘りのトンネルへ
Photo by Jyoonji
昔の牛車を想定した道なのか幅が狭くて軽トラックがギリギリ、ハンドル幅の広いMTBはちょっと怖そう。
Photo by Jyoonji
昼食は南小国の田舎料理の店「比良」。店の前は頭を垂れた稲穂とコスモスが咲いていた。
Photo by Jyoonji
これに鶏カツに山菜の天ぷらまで付いている。
彼岸花が咲く道からそば街道を上った。
そば街道は次の小倉林道に備えてゆっくり話しながら上った。
212号に出ると車の多さにびっくりした。翌日休めば4連休になるからだろう。山の中にいた私たち9人は浦島太郎の心境だった。
Photo by Jyoonji
林道入口に近い山田展望所で一息
Photo by Jyoonji
212号から入る下りの小倉林道は、いきなり埋まった石や大き目の浮いた石がゴロゴロしているところから始まるので要注意だ。石畳みではないが、衝撃の連続はパリルーベの「モン・サン・ペヴェル」がこんな感じだろうか。
Photo by Jyoonji
田舎道の舗装路に一旦出て、興奮を抑えるよう田んぼ道に入り、反芻するように砂利を踏む音を聞きながらゆっくり帰った。
Photo by Jyoonji
最後は蕎麦の花をバックに写真を撮って道の駅阿蘇にゴールした。
サイクルラックにバイクを掛けるとインパクトあるグラベルの満足感に抜け殻のようになった。舗装路から未舗装路まで幅広い路面に対応できるグラベルバイクは、自然が豊かで自由に車との遭遇がないところを走れるのが何よりの利点だとそば街道まではそう思っていた。
そば街道から小倉林道の間の車が多かった212号の下りで、MTBタイプの方のハンドルに車が接触して落車は免れたものの危機一髪の場面があった。それなりの音がしたので接触したことは分かっていたはずだが、若い女性2名が乗ったレンタカーはそのまま走り去っていった。阿蘇は車を必要とする観光地なので国内外からの車の運転に慣れない観光客だろう。
グラベルバイクはアメリカ発祥であり、アメリカ・カンザス州で開催される世界最大級のグラベルイベント「Unbound Gravel」は、2006年に2名の若者により「DirtyKanza」として34人のレースで始まった。
2014年に主催する1人が交通事故で亡くなり、自転車とは関係のない事故だったが、その年はアメリカ中で立て続けにサイクリストが交通事故で命を落としたことから、サイクリストが舗装路を危険と感じて車が少ないグラベルへ向かうきっかけになったといわれている。今日は最高のグラベルライドだったが、何の過失もないのに車から接触され、危うく大怪我という場面があったのでトーンダウンしてしまうが、今後日本でも同じような流れになるのかも知れない。