コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポート「小国郷涼風ライド」が届きました。
今回は、中尾さんもお客様の一員としてライドに参加され、小国のライドを満喫されたようです。ご覧ください(*’ω’*)
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まったく猛暑がおさまる気配がない。少し前は盆を過ぎたある日、涼しい風を感じるようになっていた。8月最後の日は、その「ある日」を期待したのか、小国町地域おこし協力隊の上野君の「小国郷涼風ライド」はタイトル通りになるのか。2月に産山で開催された「雪上MTB100分耐久ライド」では見事な積雪で大いに盛り上がったが果たして。
私はこのライドに研修を兼ねて一般の参加者として走った。いつも案内する阿蘇満喫ライドの朝は、心配性のため時間配分やコースのことがフワッと頭をよぎるが、この日は誰かの後ろを走ればいいので緊張感はなかった。
グラベルバイクで走る日は40分以上前に集合場所へ着くようにしている。家で時間をもてあますより早めに着いて、持参したアウトドアチェアーに座り、コーヒーを飲みながら日陰でゆっくりするのがグラベルライドの楽しみでもある。
このスタイルは玉名のよしたまさんから学んだ。彼はいつも私より早く着いて、チェアー&コーヒー、それにグラベルバイクは、鑑賞するかのようにディスプレースタンドに立てて寛いでいる。ヘルメットからシューズまでロードで走る格好ではない。アメリカ発祥の自転車の遊びらしくラフなグラベルウェアが長髪のよしたまさんによく似合っている。
この日のライドに参加されたのは福岡、大分、熊本からの11名。参加費はおやつ付きの2000円、昼食は3つのメニューから好きな物を事前予約。コースは距離50kmに対して獲得標高は上野君らしい1000m。バイクはロードもしくはグラベル推奨、ということで駐車許可を取られた小国町役場に集合して、道の駅小国ゆうステーションからASOおぐに観光協会の方に見送られてスタートした。
この建物は日本初の木造立体トラス構法といって内部には地元名産の小国杉が2461本も使用されているという。ミラーガラス張りの外壁はフォトスポットとしてもおもしろい。
こちらの女性2名を含む3名の方は玖珠から30km自走で来られたというから驚きだ。
街中を抜けたら車がいない静かな道のあと下りになった。その後は木漏れ日の下りになって、朝の締まった空気を全身に受け実に爽快な気分だった。これだけで小国に来て良かったと思ったほど朝の自転車は素晴らしい。ほとんど車が通らないのだろう木の枝が所々落ちているが、空気圧2.5bar、40cのタイヤのグラベルバイクなのでそこはロードバイクほどの怖さはなく上野君の後に続いた。
それにしても長い下り、ということは上りが待っているわけだ。カーブを曲がると見上げるほどの長い坂になった。あたりにため息とギアを変速する音が一斉に響いた。8%を超える長い上りになった。それでも後ろからは2名の女性の笑い声が聞こえてくるから凄い。その上りはグリーンロードまで2kmも続いて、涼風が吹く気配もなく顔からは噴き出すように汗が落ち続けた。
下城の大イチョウで一旦休憩を兼ねて展望所から滝を眺めたが樹々に隠れてまったく駄目だった。ここからまた上りが続いて阿蘇レインボーバレー入口に到着した。これから400mの激坂を下りまた上って来なくてはならない。
ここは遊水峡と呼ばれており、9万年前、阿蘇カルデラをつくった時の噴火で流れ出た火砕流の岩で川底が覆われており、浅いので天然のウォータースライダーみたいに遊ぶことができる。
水はとても美しく水温はそこまで冷たくはない。
なのでこうなるのだ。
敷地にはロッジ風の建物があり中に入ってみた。
「珈琲 楓の木」、いい感じの音楽が流れていた。
マービンゲイだった。ドナルド・バードもあるし、ダニー・ハサウェイ、ビル・エバンスのCDが並んでいた。
本棚には開高健の「眼ある花々」に「書斎のポトフ」もあるじゃないか。次回ゆっくり訪ねてみよう。
阿蘇レインボーバレーからしばらく行くと、ファームロードに合流するところに雰囲気のよさそうな「菜園の風」というイタリア料理店があった。上野君に訊ねると人気の店らしいので楓の木とセットで行ってみたいものだ。それにしても小国は山に入ると、スギ林の上りと下りの連続で平らな道はないが木陰になるのが唯一の救いだ。
昼食会場の西里テラス到着。
ここは旧西里小学校を改修してオフィス機能やコワーキングスペース、シェアキッチンなどの交流の促進を進めていく施設で食事処は曜日を交代しながら営業されている。
キッチンは家庭科室、土日営業されているこちらのメニューはいずれも塩麴が使われている。
食事する場所は音楽室かな、クーラーが効いて快適。
頼んだ料理が出来るまで前菜みたいな家庭料理、おばんざいをバイキングスタイルで取り分けすることができた。あと冷水ポットに何度も補充してもらった冷たい水は砂漠のオアシス的に有難かった。
「麹おばんざい」、美味しい。特にミョウガとミニトマトのピクルスが実に爽やかだった。
とり天とトマトの天ぷら、麹が入った冷製の汁物、おばんざいのいずれも優しい味、食後にはサービスでチーズケーキまで出してもらい超満足の西里テラスだった。この日のライドの参加者に西里小学校の先生をされていた方がいらしてびっくりだった。
食事の後はまた上り下りの杉林。有名ブランドの小国杉は、強度に優れ艶と粘りのある材質が特徴。人の手や陽差しによって年々アメ色の風合いが増していくそうだ。木が発するフィトンチッドという芳香性の物質は、森林浴と同じリラックス効果を得ることができるという。その影響か坂だらけだったがみなさん温厚だった。
そうこうするうちにグラベルライドの雰囲気が漂う道になってきた。
はーい来ました!
ロードの人には申し訳ないけどグラベルバイクには最高の道で歓声が山にこだました。
山道を抜けたらあっと驚きの街、奴留湯温泉の前に出てきた。思わず都会という人もいた。ここは貴重な自販機ポイントになる。
さて、ここからが試練の3.5kmの上り坂だ。
ここでも涼風は吹かず、汗がフレームにポタポタ、道にもポタポタ、それが続く。
すると地元の方の応援が!
「ガンバレ!」 「 Vamos!」は、ペイントではなくテープを貼られたもので通過後撤去されるそうだ。
農作業の合間に家の前で応援していただいた。
上野君と地元とのつながりの深さを知った。
有難いおもてなしだ。
トンネルは車が少ないところがコースになっていた。
午後からはそれぞれの壁がなくなって和気あいあいの雰囲気、グループライドはこのくらいの人数が理想だろう。
小国の杉山は藪のように密集したところはなく、間伐が行き届いているので気持ちいい。
沖縄の自転車仲間を阿蘇に案内したときにまっすぐな杉を見て感動されて不思議に思った。台風が多い沖縄には曲がった木しかないそうだ。それと伐採した木を運ぶ連結したトレーラーも沖縄にはないそうで珍しがられていた。同じように日本人の当たり前が外国人には当たり前じゃないものがあるので外国人サイクルを案内するとヒントは盛り沢山だ。
今回の特別に立ち入り許可を取られた牧野の道のコースに入った。
放牧されている牧野なので道にはフレッシュな爆弾多い。
やはり草原は私有地、貸し切りなので楽しさの次元が違う
牧野の道から今回最も雄大な眺めの小萩山草原テラスは2.4kmのかなり厳しい上りになり、予定時間を過ぎていることもあるが、上りはお腹一杯ということでカットすることになった。
ここは以前走った平野台高原展望所の上にある黒川牧野の頂上。小萩山草原テラスの近くなので景色は阿蘇五岳一望できるこのような感じと思えばいいだろう。
帰りは下りが続くのであっという間に小国の街へ着き黒豚専門の肉屋「黒豚屋」に行った。
このライドの「おやつ付き」は、超人気店黒豚屋の黒豚バーガーとオーガニックジンジャーエールが予約されていた。
「小国町」から時計回りがコースで、赤はスピードの速かった下り坂、青は遅かったところなので上り坂になり、私のガーミンでは距離45kmで獲得標高は1112mになっていた。
こんなコースでも遅れることなく走られたお二人。左の方はブルべされており一眼もしくはミラーレス担いで走られた。一昨年のヘトヘトだったツール・ド・佐伯で引いてもらったご夫婦の奥様でもある。右の方は主に耶馬渓でサイクルイベントなど企画運営され、素敵な一棟貸宿のオーナーでもあるので合宿でお世話になりたい。このあとまた30km自走で帰られるというから脱帽だ。
上野君のライドはタイトルの涼風は吹かなかったが実に内容が濃く大満足だった。小国町地域おこし協力隊としてASOおぐに観光協会で仕事をして1年半、まだ小国弁はあやつれないものの、この日のライドで福岡から移住してきた上野君と地域の方との幅広いつながりを感じた。
サイクルツーリズムは広範囲に行うべき事業のため、小国郷のロード、グラベル、そしてかって木魂館に隣接したコースで開催されていたMTBジャパンシリーズの地でもあり、季節ごとのコースを上野君目線で発掘して阿蘇地域を盛り上げてもらいたいものだ。