コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「奥阿蘇グラベルライド」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました。
4月29日(火・祝)に開催した「奥阿蘇グラベルライド」についてです。
天候に恵まれ絶好のライド日和となり、参加者皆さまの笑顔がとても素敵な1日でした。
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町古閑牧野で働くショウ君こと釜崎笙君のアテンドで南阿蘇と高千穂の間に広がる奥阿蘇でグラベルライドを開催した。熊本地震のあとショウ君は、しばらく高森に住んでいたこともあり山道に詳しく、やや厳しいグラベルライドだったが車との遭遇がほとんどない素晴らしいコースになっていた。

集合場所は高森町草部(くさかべ)の奥阿蘇物産館。ショウ君と下見に行った際に駐車許可をいただき、ついでに館内のレストランで昼食した際に混みあっていたが出てくるのが早く、メニューも豊富だったので昼食もここにした。玄関横にはサイクルラックもあって、今後、奥阿蘇方面のサイクリングにはおすすめの施設のように感じた。

駐車場と昼食場所が同じになったことから、奥阿蘇物産館をスタートして午前中は南側を走り、戻って来て昼食後は北側を走る着替え等にも便利なコースになった。距離は41km、獲得標高は1037m。

天気に恵まれて絶好のグラベル日和になった。試走のときは前日雨だったので、自転車もシューズも泥だらけになったがこの日はその心配はなさそうだ。

参加されたのは福岡から2名、熊本から4名の方、走っている最中は初対面でも自然と話が弾んでいく。

ショウ君はフォトグラファーとしても活動しており牧野での撮影会を毎月開催している。この日参加された福岡の方はショウ君のカメラ仲間だ。グラベルライドをやってグラベル好きな方と出会い、マウンテンバイクライドでもしかり、いろんな方と出会いがある。

自転車をやっていると自分の仕事関係以外の方との出会いが広がっていく。そして、たまたま一緒に走った人が生涯の友人につながるから自転車はおもしろい。

草部吉見神社到着。
鳥居をくぐって境内に入ると、そこは社殿へとつづく一直線の130の石段になる。

この神社の造りは大変めずらしく、一般的な神社は石段をのぼった先など参道より高いところや平地に社殿があるのに対し、こちらの神社は階段を下った先に社殿がある。このことから「日本三大下り宮」の一社とされている。

社殿には龍や鷲、猿の巧みな彫刻が施されている。創建は紀元前288年頃といわれ、阿蘇神社創建の6年前になる歴史ある神社だが訪ねる人は少ない。


社殿に下って願いを捧げ、鳥居に向かって上って、ふと見上げると別の世界にいるような神聖さを感じた。

スピリチュアルな体験のあとは、マテリアルグラベルライダーの心を満たす田園風景が続いた。それは明るい太陽が降り注ぎ、思わず叫びたくなるような気持ち良さだった。細い道に曲がって薄暗い森が見えてくるとショウ君が停まり、「これから急カーブが連続する荒れた道の高低差200m、距離1.6kmの下りになります」と注意喚起を促した。
試走していたのでその「警告」は適切だった。ハイジの世界から急転直下する暗闇の悪路は、激坂によくある滑り止めの横線を入れたセメント道がいたるところ崩れている。途中から10%、16%の下りで段差が連続、急カーブには浮石がゴロゴロしており、最後には20%越えの下りになり真剣に「ヤバイ!」と感じた。グラベル難度★5つの悪路になり、テーマ曲に喩えるならば、「Black Sabbath / Paranoid」が似合う。

これは試走のときに撮ったもので一番セメント舗装がいいところ、例えればベルベットの絨毯のよう。このようなカーブが連続する。

悪路の模様は撮れなかったが降りてきたところが旭化成川走川第一発電所。旭化成、あの旭化成が造った水力発電所だ。100年前、旭化成創業者・野口遵は、延岡の豊富な水と電力に魅力を感じ、川の上流で発電して、下流の町で電力消費産業を起こすプロジェクトを興した。阿蘇カルデラを源流とする五ヶ瀬川は、多くの支流を合わせ、延岡でさらに大瀬川と合流して日向灘に注ぐ。その落差と水量は、何箇所もの水力発電所の設置を可能にするほど莫大なものだった。
現在9カ所稼働する水力発電所のひとつが大正13年(1924)、101年前に竣工した旭化成川走川第一発電所だ。午後からは昭和39年(1964)に竣工した旭化成白水発電所にも行った。2018年11月の五ヶ瀬川発電所(1925年竣工、13,500kW)の大規模改修工事を皮切りに、順次既設水力発電所の改修を計画し、2019年8月には馬見原発電所(1926年竣工、5,000kW)の大規模改修工事実施を決定し、順次工事を進めてこの日訪ねた2つの発電所も更新の工事中だった。

奥深い山の林道を抜けて325号に出ると奥阿蘇大橋の手前に出て2kmほどで奥阿蘇物産館に着いた。

定食はこんな感じで1200円、ごはんのお代わりもできる。

試走のときは、かなり混んでいたがすぐに料理が出てきて驚いた。定食はメイン料理が違うだけであとは同じなので効率がいいのだろう。

試走のときはホルモン煮込み定食にしたがかなり美味しかった。阿蘇地域の食堂では定食に豚のホルモン料理を出すところが実に多く、メニューにないところが稀なくらいだ。

これは奥阿蘇物産館のすぐ近くにあるヤマザキショップ草部青木店で販売している知る人ぞ知る塩こうじホルモン。氷や冷凍商品のショーケースの中段にずらりと並んでいる。家内と娘から草部に行くなら美味しいから絶対買ってといわれて、みなさんにもお土産リストとして案内していた。
ただ、1㎏1980円の冷凍のみなので量が多すぎてちょっと引いていたが、一昨日5人で焼肉をした際に塩こうじの旨さとハーブ系香辛料が絶妙で完食してしまった。自然解凍したら下処理・味付け不要の焼くだけなので手間もかからない。近くに行くことがあったらまた買ってくるよう頼まれている。

午後から木郷滝に行った。ここは下流にある木郷滝自然つりセンターの私有地なので試走の際に許可を取っていた。

杉山を抜けた滝近くは、石や岩が飛沫で苔むして、それに木漏れ日が降り注ぎ、いつまでもいたくなるような世界が広がっている。

滝は巨大な岩盤から流れている。よく見ると中央の大きな滝が岩盤の上を流れる川から落ちてそのまま下流に流れて白水川になっている。他の幾筋もの滝は岩盤の上や途中から噴き出し、階段の上にはその水を集める水路が作られ、そのまま下流にある木郷滝自然つりセンターの養魚池にパイプで運ばれている。階段は水路の落ち葉などを取り除く作業のためのものだ。
木郷滝周辺は、私有地だからこそ守られてきた苔と木漏れ日の穏やかな空間に包まれ、それとは真逆のマッドマックスの要塞基地のような階段と足場のセットが奇妙だが不思議と絵になっていた。

来た道を折り返す。車の轍がない浮石に泥の上りはグラベル感満載。グリップを持たせてペダルを踏まないと空転してしまう。

これぞグラベルライド!


木郷滝自然つりセンターに到着。上流にはツアー・フライエリアがあり、受付や食事処があるここは餌釣りのエリアになる。古い案内板には「蘇陽漁協白水川渓流釣場」とある。蘇陽は、矢部町、清和村、蘇陽町が合併して山都町になった。この先の山都町の川は、支流が集まり緑川となって熊本県中部を流れ有明海の島原湾に注いでいる。木郷滝から白水川になり、吉尾野川、木郷川、柳谷川、川走川に合流して五ヵ瀬川に至り、延岡平野を潤し日向灘、太平洋が終着となる。

川の餌釣りは岩盤の深いところがポイントになっている。

ここは四季を通じてヤマメ、イワナ、ニジマスが1,500mの渓谷に遊泳し、子どもから上級者まで本格的な釣りが楽しめるそうだ。

釣りの料金は、餌釣りで4時間4500円、ルアー・フライは5時間4500円と高そうだが釣り人は多い。というのも魚影が濃く釣れた分だけ持ち帰ることができるみたいだ。それに釣った魚の下処理コーナーがあり、新鮮なまま持ち帰ることが出来る。また、下処理をして持ち込み料金は必要だが施設内のレストランで食べることも可能らしい。

次に向かったのは下流の堰堤、試走でコケたところだ。

水量が多かったのでシューズまで濡れたようだが、グラベルライドのアクセントとしてはいいポイント。


最後に今回メインとなる廃村を訪ねて牧野のダウンヒルに向かう。猟師の方以外まったく使われていない道のようだが、草刈りをされているので走行に問題はない。

廃村に到着。ショウ君によると付近を撮影した昭和40年代の航空写真があり、それには家屋が点在し棚田が広がっていたという。60年ほど前まではここで農村の生活がされていた。トタンをかぶせた家が多いのでその前は藁屋根だったに違いない。稲作、畑作、狩猟、水は谷から引き薪で炊飯、風呂に利用されていたのだろう。

こんな山の奥に住んだみなさんは、米を作るために山の斜面を開墾して田んぼを作っていき棚田になっていた。炭焼きも家計を支える重要な仕事だったはず、麓の集落に降りて塩や砂糖、子どもの駄菓子などと物々交換していたのかも知れない。

栽培されていた高級山菜のコゴミが誰も収穫することなく一面に広がっていた。アクが無く、おひたし、和え物、天ぷら、それにオリーブオイルでソテーしてパスタにも合う春の味覚なのにもったいない。

そんな想像をしながら自転車で訪ね、地元の図書館でこの村の写真や文献を探してみたい、これがわたしのグラベルライド。

廃村の林道は高森自然学校の前に出たのでみんな驚きの様子だった。

中村水源で水の補給をして牧野へ向かう。

ここの牧野道も了解を得ての走行だ。阿蘇地域には50カ所以上の牧野があるが、牧野内はもちろん牧野道も施錠や鉄条網で閉ざされてなくても私有地なので勝手に立ち入ることが出来ないところが多く注意が必要だ。

最後はこのダウンヒルと、長い長い下りで奥阿蘇物産館にゴールした。

ショウ君のアテンドしてくれたグラベルコースは最高に気持ちいいものだった。それは何度も試走を重ねて出来た結果であることは、同じことをやっている者としてよくわかる。ロードバイクで走るときに、来た道を折り返すことはあまりないと思うが、グラベルコースの場合は、かぶと岩林道のように走りがいのある道や、行き止まりでもいい道のときは折り返して楽しむこともある。それだけ阿蘇もグラベルは少ないこともあるが、行きと帰り、上りと下りでは風景も走行感も違うので両方走ってもらいたいと思っている。
長崎から阿蘇に家族で移住し農業に従事する23歳のショウ君。高森にはまだまだいいコースがあるそうなので、サポートしながらまたアテンドをしてもらおうと思っている。みなさんもいい仕事、いい生き方の糧になるよう次回の楽しみにどうぞ。

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