コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「牧野ガイドの活動と梅雨の過ごしかた」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポートが届きました。
今回は、「牧野ガイドの活動と梅雨の過ごし方」です。
お越しいただいた皆さまに満足いただけるよう、コルナゴ部長は「阿蘇のイイところ」を常に探していらっしゃいます♡

ご覧ください。
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5月24日の阿蘇満喫ライドは雨天のため中止した。
そのためライドレポートの代わりに、今期になって6年目を迎えた私の2ヵ月間の活動をちょっと紹介しようと思う。というのもどういうかたちで阿蘇満喫ライドを開催しているのか、牧野ガイドの仕事は月にどのくらいあるのか(多分収入のことでしょう)など興味を持って尋ねられることがあり、私のリタイヤ後(そうは思ってません)は、趣味と実益を兼ねて過ごしていると(実は毎日が挑戦です)よく言われるので少しばかりお知らせしよう。
あらためて簡単に自己紹介をすると、60歳で退職、翌月から道の駅阿蘇サイクルアドバイザーとして声を掛けていただき、阿蘇サイクリングの開催と関連するブログ記事の作成、道の駅阿蘇が行うサイクリング事業へのアドバイス及び情報提供を委託契約する仕事と、牧野ガイド(サイクリング含む)の二刀流で活動している。
レポートの最後には、九州北部の平年の梅雨入りは6月4日、梅雨明けは7月19日になっており、平年通りであれば梅雨入りはもうすぐなので45日間うっとうしい日々が続き、その間の阿蘇満喫ライドは開催出来ない日があると思うがそんなときの過ごし方も紹介しよう。

旅館時代によく見た光景として、雨のなか欧州の人はレインウェアのフードを被り、さっそうと外出して行くのは日常だった。牧野ガイドをするようになって雨で濡れるのを嫌う日本人は小雨でも霧雨でもキャンセルになるが、外国人はしっかりしたレインウェア姿で平然と集合場所に来られる。よって天候によって収入が消えることは少ない。
写真はデンマークの方を案内したときのもので、スタートの時は普通に雨が降っているのにかなり軽装で来られた。「この雨でも走りますか?」と尋ねると、「デンマークはいつも雨だよ、問題ないよ」と濡れることには平気な様子だった。

かなり寒い日だったので、わたしは上下レインウェアの上にストームクルーザーを重ねて長靴だったが、彼は普通の半ズボンに薄いウィンドブレーカー姿だったので驚いた。日本人をはるかに超える耐寒性や雨に濡れることをあまり苦痛と感じない体質は、過酷な条件で繰り広げられるサイクルロードレースで欧米の選手にかなうはずがないと思った。このあと濡れて寒いだろうとコンビニに寄ったら、二人とも冷えたコーラを美味しそうに飲まれていた。

雨の日の台湾やシンガポールのグループのときは、日本人ならサドルカバーが定番だが、泥除けのリアフェンダーを持参されているのには驚いた。雨の日にサイクリングするのは日常なのだろう、以降わたしも外国人の時は完全防備の雨対策でガイドするようにしている。

あらためて牧野ガイドについて説明しよう。
2018年、ASO田園空間博物館(道の駅阿蘇)は、阿蘇地域の貴重な地域資源である草原(牧野)を有効活用することで草原の魅力や価値、草原維持の必要性を伝えていく取り組みである牧野ガイド事業を立ち上げた。
牧野ガイド事業には3つの制度が定められている。牧野保全料を設置して牧野に還元すること、牧野ガイドが同行しなければ立ち入りが出来ないこと、牧野ガイドを育成し資格認定と更新制度、この3つの制度よって牧野の観光利用が可能になった。
現在は33名の認定ガイドが「牧野トレイルウォーク」、「牧野トレイルラン」、「牧野ライド(MTB)」の3つのプログラムを提供しており、観光では通常立ち入ることができない草原(牧野)をフィールドとする阿蘇ならでは貴重な体験を提供している。

わたしが案内する牧野ライドは、道の駅阿蘇をスタートして狩尾南山牧野やニベ塚の牧野と阿蘇神社・門前町、それに外国人は必ずリクエストする中岳火口や、途中までの牛や馬が放牧されている牧歌的な草原景観を見せる組み合わせが多く、高岳や根子岳の特徴ある山容と、上るに連れ見下ろす阿蘇谷と北外輪山というダイナミックな景色は感動される。
言葉は翻訳アプリで壁はあまり感じていない。ガイド料は道の駅阿蘇のサイトに表示されているものから牧野プログラムは牧野保全料とE-MTB利用はレンタル料を差し引いた金額が収入になる。
阿蘇満喫ライドは、下城さんと井上君、ミユキさんはボランティアで、私はそのレポートを書くことで収入を得ている。開催日は4人で打ち合わせ、コースは私が決めて募集は道の駅阿蘇のスタッフの方にお願いしている。

4月21日、コスギリゾート阿蘇ハイランドゴルフコースの上に位置する狩尾南山牧野は、道が一本だったがもうひとつ新たにルートを整備されたので調査に行ってきた。

ここには道の駅阿蘇から自走だが、その間も車が少ないところや森の中、帰りにその時の状況次第だが、小さなスーパーで出来立てのから揚げを買って外で食べるプランもある。

狩尾南山牧野は、採草だけで放牧はされていないが、隣の牧野には牛が放牧されているので長閑な雰囲気も楽しめる。また、放牧がないため年間通して利用できるのもこの牧野の特徴だ。コースについては山の斜面にあるため中級者向きになる。

山の斜面にあるのも理由かも知れないが珍しい山野草を多く見ることができる。前回の町古閑牧野でのショウ君の案内の通り、開花した花があれば説明してあげると確実に牧野の魅力が高まる。また、鳥の鳴き声が聞こえたらその名前と特徴、猛禽類のホバリングが見えたら同様に、アナグマ、ウサギ、それにこの牧野には鹿が多いので鳴き声が聞こえたら教えてあげたりすると牧野ライドの体験がより深まるはずだ。

近くに米塚を見ることができる。隣接した牧野の立ち入り許可が取れれば、米塚の麓に出る牧野道があるので赤水線と坊中線で帰ってくる素晴らしいコースになるのは間違いない。
現在利用できる牧野は、ここ狩尾南山牧野とニベ塚、箱石峠の北側の町古閑牧野、かぶと岩展望所付近の西小園牧野、やまなみハイウェイ沿いの下荻の草牧野の5カ所になる。

この日の調査には、牧野ガイドのメンバー以外にも、牧野ガイド事業の取り組みを応援されている環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所の方も同行された。

4月25日、環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所の紹介で南阿蘇村の2つの牧野の調査に行って来た。こちらは上二子石牧野、阿蘇南外輪山の北向き斜面に位置し牧野は東西2か所に分かれている。標高は西側で約570m、東側で約610mと比較的緩やかな傾斜になっている。

ここでの牧野ライドのプランはすぐには思いつかないが、今作っている南阿蘇のグラベルライドのコースによさそうだった。

後日、試走に行ったが、牧野道の上りは厳しいが牧野入口のグラベルはコースに最適だった。

途中には六の小石古墳群やグラベル沿いには遠見塚(二子石城跡碑)、それにかなり山奥なのにバイク乗りが多いコドナカフェがあった。グラベルコースには、こういった史跡やひと息つけるカフェなどの立ち寄りスポットを探すのも大切、そこも魅力でもある。

現在、阿蘇満喫グラベルライドのコースとして、道の駅阿蘇スタートの阿蘇谷に30kmと50kmの2コース、小国町役場スタートの小国・南小国コース、ショウ君に作ってもらった高森の奥阿蘇物産館スタートの奥阿蘇コースがある。

これに加えて南阿蘇に県道39号から西側の26kmのコースは、サイクルピットぐるりの山内君に教えてもらったので、東側に白川沿いのグラベルと上二子石牧野のグラベルが加われば南阿蘇スタートのグラベルコースが完成する。6月15日のグラベルライドではこのコースを案内する予定だ。

次に白川水源の北側の阿蘇山麓にある白川牧野を案内してもらった。

白川水源で待ち合わせて牧野の方の軽トラックについて行くとほぼ白川水源の真上が白川牧野になる。

こちらは放牧の牛がいる。

長い上りが続く。

中腹からの眺め、広大な牧野だ。

ここが牧野の頂上、この先は遊歩道があるらしく砂千里ヶ浜に続いているそうだ。ということは中岳火口に繋がり、坊中線で道の駅阿蘇に帰ってくることが出来る。

コース案として、参加者は阿蘇駅から豊肥本線で立野駅へ、南阿蘇鉄道に乗り換えて南阿蘇白川水源駅で下車、そこからE-MTBで白川牧野の頂上まで牧野ライド。頂上で昼食後トレッキングで砂千里ヶ浜、そして中岳火口へ。火口駐車場からE-MTBで草千里に行きコーヒーブレイクのあとパノラマダウンヒルで道の駅阿蘇へゴールする。
軽トラックでE-MTBを南阿蘇白川水源駅に運び、白川牧野の頂上で回収して中岳火口駐車場に準備しておけばこのコースが案内できる。スタッフは軽トラック担当とガイドの1名、豪華な内容なのでそれなりのツアー料が見込めるだろう。是非実現したいものだとみなさんと語った。

4月19日は熊本競輪場で日本競輪選手会熊本支部主催による第2回「熊本バンク試乗イベント」に満喫ライドを案内するメンバーで参加してきた。熊本地震の被害により昨年6月にリニューアルオープンし、今回が2回目の熊本競輪選手会のみなさんがサポートするバンク体験だ。

受付後、選手会の方がバンク内での事故防止のため自転車の安全点検をされた。そういえば以前はサイクルイベントの際に「車検」という安全点検が必ずあったが自転車店の減少とともになくなったようだ。

初めてのバンクはかなりの斜度にたじろいだ。スピードを出せば遠心力に対して自転車をまっすぐに立てられそうだが遅いと下に降りてしまう。何度か走っているうちにイエローラインのところまでは走れるようになった。
「ケイリン」は、2000年シドニーオリンピックから柔道に次ぐ日本生まれの五輪種目だ。自転車乗りになった以上一度はバンク体験がしたかったがやっと実現した。ただ、広いコースなので思わず目一杯走るので疲れる。400mのバンクは風の影響をもろに受けるので2周でお腹一杯という感じであとは休み休み走った。このイベントは定期的に開催されており、子供用のレンタル自転車や小児用レンタルストライダーも利用できるそうなので家族で楽しむのもいいかも知れない。

ヒルクライム探究家、才田直人さんにお会いした。
才田さんは日本全国、世界各国を自転車で走りながら、各地のヒルクライムや文化、グルメを楽しむ旅人であり、日本の上るべき100のヒルクライムルートを選定する『ヒルクライム日本百名登』https://bikeclimbjournal.com/プロジェクトを立ち上げ自転車旅を続けておられる。
今回は8日間来熊し阿蘇の峠を走り込まれた。そこでの感想は日本で最も走り応えがある地域のひとつであり、もっと阿蘇に滞在したかったと熱く話され今後何か一緒に出来るならと思った。才田さんの足跡として、熊本のストラバリーダーボードのKOMがかなり書き換えられたようだ。

4月と5月の牧野ライド・プライベートライドは5組、うち外国人は3組だった。阿蘇満喫ライドは6回開催し、サイクルイベントや牧野調査が7回と、レポートが7本、あかうしのあくびの原稿が1件、あとは牧野ライドと阿蘇満喫ライドのコース試走と個人的に案内したライドが数回あった。
けっこう忙しい。阿蘇満喫ライドやサイクルイベント関連のレポートは2019年6月から毎月2本以上書いて結論は「阿蘇を走る魅力」なので悩ましい。走力のある人も来られるので練習が苦しい。しかし、レポート読んで、一緒に走って、知り合いになれるのが楽しい。そして、趣味が仕事という自由な刺激ある時間割が嬉しい。

45日間の雨の日のサイクリストにおすすめは読書。
3月に出版された村澤武彦さんの「サイクリスト」は欧州ライドイベントを中心に描いた自転車小説。筆者の福岡で開業医をされている村石昭彦さんは、本業の傍らすでに3冊の本を出版されている小説家でもある。今回は村石さんを主人公(本では村田正平院長)とする欧州で体験されたライドを元に書かれており、自転車乗り目線の情景描写にとても共感を覚えた。

村石さんは私と同じ年で10年近く前から何度か一緒に走っている。第1回の阿蘇満喫ライドにも参加されたので写真を探していたら、ニースを走る本の表紙と同じような阿蘇を走る6年前の村石さんの写真が出てきた。
物語は5年前から入念に準備してきた南仏ニースでの大会に備えて練習中に落車、恥座骨を数カ所も骨折し入院するのが当然なのに、開業医は患者のことがあり急な入院は難しく、傷みと格闘しながらリハビリを続け挑戦へのスタートラインを目指す。
開業医は代わりがいない仕事であり、定年もないという一面はあらためて知ったことだが、主人公の夢に挑戦する姿とその行動力、見えない紐から解き放とうとする姿に感銘を受けた作品だった。
この本にちょっとだけ私について書かれているが、「趣味を活かして悠々自適・・・すごく羨ましいよ」と村石ドクターには映っているようだ。執筆当時の年齢に喩えてこのような言葉が印象的だった。「六十五歳、完熟への上り坂なのか、あるいは終末へのクダリ坂だろうか」それは私たちの挑戦次第だろう。

私が「サイクリスト」と共におすすめする自転車小説は、「サクリファイス(近藤史恵)」、同じく「エデン」、「男たちは北へ(風間一輝)」、それに「銀輪の覇者(斎藤純)」は昭和9年(1934)を舞台に本州横断サイクルレースが開催されドイツチームを含む300名の選手が戦火が忍び寄る時代を駆け抜ける痛快自転車冒険小説。大会委員長が乗る先導者はスチュードベーカー、取材バイクはアリエルのサイドカー、回収車はシボレートラック、大会委員長が吸うタバコはゴールデンバットという時代感も面白い。

夏目漱石がロンドン滞在2年目の1902年、下宿にいたときの経験をもとに書いたエッセイ「自転車日記」がある。漱石の神経衰弱がかなり深刻な状態になっていたことに下宿の「体重二十貫目の婆さん(リール姉妹)」が、部屋に引きこもる漱石を気分転換させたいと考えたのが自転車だった。

「この頃は自転車は数年前のブームが一段落したあと大衆化の時代を迎えようとしていた。大衆化といってもいまだに中産階級を中心とした乗り物だったが、中古車であればかなり格安で買うことができた。その結果、自転車は多くの人々の新しい屋外娯楽となった。
とくに常時腰掛けて仕事をするひとにとっては、適度の運動をともなう格好の気分転換になったのである。晴れた日に美しい田園地方に遠出し、新鮮な空気を吸って一日をすごせば、漱石のごときやっかいな病気持ちでもきっとよくなるだろうとリール姉妹は考えたにちがいない」自転車に乗る漱石(清水一嘉)より引用

漱石が「老朽悲鳴をあげるほどの」という今まで物置の隅にあったような古い中古車を手に入れ、鳥打帽をかぶり、近くの「馬乗場」で練習を開始した。ちなみに漱石が35歳で自転車を始めた翌年にツール・ド・フランスの第1回大会が開催されている。
その後上達してラヴェンダー・ヒルやクラパム・コンモンなどの郊外で悠々と乗りまわし、そうこうしているうちに、気分も晴れやかになり精神状態も落ち着いていったという。憂鬱な雨の日、本でも読んで過ごし、梅雨明けしたら漱石先生のように晴れやかな気分であらたなサイクルライフを迎えよう。最後に夏目漱石「自転車日記」現代語訳の朗読をどうぞ。

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道路情報や店舗情報など道の駅阿蘇Facebook道の駅阿蘇ホームページでもお知らせしておりますのでご活用下さい。

道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)

TEL0967-35-5077

HP:http://www.aso-denku.jp/

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